人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 32 ベトナム編《フエ カジノでルーレットに溺れる⑧ カジノからの帰り道》

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見切り発車 闇夜でシクロと値段交渉の巻

 

 

カジノを出て、タクシーを探したが、

ひとっこひとり歩いていないし、

車も全く走ってない。

 

無理もない。発展途上国のしかも地方

で、夜12時をまわっているのだ。

 

どうしたものか、と僕は考える。

ホテルの名刺はあるから、住所は

わかるが、歩いてたどり着ける自信が

なかった。

 

しばらくすると、僕の金の匂いをかぎ

つけたのか、オカルト映画の亡霊のように、

暗闇の先からゆっくりとシクロの影が

浮かび上がってくる。

(シクロとは、簡単に言えば3輪の

自転車タクシーだ)

 

40歳後半くらいのシクロの運ちゃんに、

ホテルの名刺を渡すと、オーケーオーケー

といって、シクロは僕を乗せて走り出す。

 

冗談の代わりなのか、シクロは

こんにちわ、と日本語で僕に語りかけた。

だが、そのあとに続く言葉はなく、

シクロの漕ぐペダルの音だけが、

暗闇の中で響いていた。

 

ホテルは思っていたより全然近く、

15分程度の距離だった。

歩いていたとしても、30分くらいの

距離だ。

 

あぶく銭があるからチップをはずんでやるか、

と思いながらハウマッチ、と聞くと、

200,000 という答えが返ってきた。

 

それくらいは払うつもりはあったが、

相場からすると高すぎる。タクシーより

ずっと高い。

僕はがめつさにちょっとがっかりしながら、

聞こえないふりをして、

 

What?How much?(え、いくら?)

 

といってみた。

すると、シクロ運ちゃんは答えた。

300,000

 

おいおい、あがってるよ、さっきより!

これは新しいパターンだ。

さすがベトナム、変化球が多彩だ。

値段を再確認したら、ふつう下がる

だろう。

 

ドルならいくら、と聞くと、20ドル、

と返してくる。

おいおい、それあんたの1日の稼ぎより

多いだろ、と心の中でツッコミをいれる。

 

僕は顔をしかめるふりをして、

Too expensive (高すぎるよ)

といってみる。

 

するとシクロは、

How much? (いくらなら払う?)

と聞いてくる。

今度は値段を聞く方が反対になっている。

それ、こっちが聞きたいよ。。。

 

たぶん相場は2ドルくらいじゃないかと

思うが、一応10ドル、といってみると、

あっさりOKの返事がくる。

そりゃそうだ。

 

僕は苦笑して、

I give you 20 anyway 

(まあいいや、20ドル払うよ)

といって、20ドルを渡すと、

サンキューサンキューと大喜びだった。

 

ホテルは寝静まっていたが、

フロントを起こしてドアを開けてもらう。

ようやく一泊8ドルのホテルに戻った

僕は、あっというまに眠りに落ちた。