人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 64 ベトナム編《チャイドックへ向かう》

f:id:jinsei-mikiri-hassya:20211128122309j:plain

ぐっばい、カントー

 

夕方に、カントーから次の目的地、

チャイドック行きのワゴンに乗った。

 

1時間程走ると、あたりが暗くなってきた。

相変わらずバイクや車の往来が多いが、

民家の数はまばらだ。

 

僕を乗せたワゴンはほとんど

道路のど真ん中を走る。

対向車が、ぶつかりそうなスレスレの

位置で、すれ違っていく。

雷が、かなり近くで轟いている。

 

窓の外に目をやると、歩きながらタオルで

雨をシャワー代わりにして体を洗っている

男がいる。

わ、ワイルドすぎる。。。

 

こんな

男祭りの中心地

みたいなところでおろされたら、

生きて帰れるだろうか。。。

 

さらに15分ほどして、バスが停車する。

目的地についたようだ。

どうやら、例によってこのバス停も

町の中心地ではないらしい。

 

外は既に豪雨となっていて、

土砂降りの中をバイタクの群れが

待ち構えている。タクシーの姿はない。

 

ここは、チャドックのどのあたり

なのだろう。。。

 

バス停の近くに、掘っ立て小屋がある。

食堂なのか民家なのか、見分けがつかない。

それにしても、雨がすごすぎる。

雨の塊が、地面を叩きつけるかのようだ。

 

掘っ立て小屋の前に椅子があったので座り、

店の人と思わしき人に、メニューは、

と聞いてみたが、全く理解されない。

 

田舎のせいか、びっくりするほど

英語が通じない。

外国人など、観光客含めほとんどこない

ような土地柄なのかもしれない。

 

考えてみれば、日本の山奥で英語が

つうじるか、といえばだいぶ怪しい。

 

雨が降りしきる。

バイタクのひとりが、カッパを貸すから

乗らないか、と誘ってくる。

 

だが、雨がすごすぎて、バイタクに乗る気に

なれない。

 

15分待ってみたが、雨はやむ気配がない。

 

いままでは、街を歩いているときに

雨が降ってきても、傘を出そうか悩んでいる

うちにやむことがほとんどだったのに、

こういう時に限って雨は降り続ける。

 

あと15分待ってもやまなかったら

行こう、と思う。

あまりここにいすぎて、バイタクたちに

気を持たせすぎても悪い気がしたのだ。

 

余計なお世話なのは間違いないが、

ここでバスを降りたのは僕を含め

数人しかおらず、それをあてに

生活しているだろう彼らのことを

考えると、小心者の代表取締役としては

気を持たせるのが悪い気がするのだ。

ある意味での貧乏性に近い感覚かも

しれない。

 

さらに10分ほど待つと、やがて小雨に

なってくる。

意を決して、傘を片手に歩き出した。

 

すると、バイタクもシクロも僕についてくる。

少ない客に、みんな必死だ。

 

人のよさそうな若い男がシクロをこぎながら、

Where you go?

と聞いてくる。

彼らも必死なのだと申し訳なく思いながら、

こちらも夜中でリスクは負えない。

 

夜中にバイタク詐欺にあってからと

いうもの、夜にシクロやバイタクにのることに、

必要以上に慎重になっていた。

 

路上の先にホテルが見える。

バスが停車する前、車窓から見えたホテルだ。

 

街灯もないに等しいこの界隈で、

ここしかホテルはないかもしれない。

 

開いているはずだ、と半ば祈るようにして

ホテルのドアを叩いた。