人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 121 ラオス編 《メコン川のほとり》

パクセーのマーケット帰り、購入して

半時間も経たないうちに

すでに半壊しているリュックを背負いながら、

僕はメコン川のほとりを歩く。

 

遠くに、橋が見える。

ベルギー人にもらった地図によれば、

タイの国境へと続く橋のようだ。

 

近づいてよく見ると、カンボジア

コンポンチャムで見た、一昔前に

日本人が建てたという友好橋に

よく似ている。

 

時計は既に午後4時半を回っていたが、

日はまだ高く、太陽がメコン川に反射して

まぶしい。

 

そういえば、多少寄り道を繰り返してきた

にしろ、自分はベトナムからメコン川

沿って旅をしてきたのだ、と思い出す。

 

そういえば、この景色も今まで何百回と

旅の途中で見てきた光景と、どこか

重なっている気がする。

 

ふと、理想と現実、という言葉が脳裏に

浮かぶ。

最近、また読み返している沢木耕太郎

深夜特急のせいかもしれない。

 

僕にとって、現実とは、間違いなく日本

にある。となると、今のこの生活は、

理想、いや逃避といえるかもしれない。

 

何でもないような、何度も見てきたような

片田舎のマーケットをさほど飽きずに

見て回れるのは、自分自身が、逃避の

世界にいるからではないだろうか。。。

 

旅が楽しいのではなくて、現実、日本という

現実からわずかでも遠ざかって逃避している

ことが楽しいのではないか、あるいは、

楽しもうと自分に言い聞かせているのでは

ないだろうか。

 

いや、そんなことはない。

僕は旅を、

純粋に、

楽しんでいるだけだ。。。

 

だが自分に言い聞かせたそのセリフは、

どこか白々しく、僕の心に沈んでいった。