人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 一人旅 6 中国編《南宁到着》

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南宁は中国語表記で、日本語表記だと南寧

南宁駅に着いた。

まだ朝六時であたりはまだ暗いというのに、人通りがとにかく多い

のが不思議だった。

玉さんに聞くと、これから広州に向かう人たちらしい。

出稼ぎ労働者、というやつだろうか。

 

僕が泊まるホテルが決まっていないことを知った玉さん

はあちこちのホテルに電話してくれた。

朝早いせいか、1泊300元(5000円くらい)のホテルしか見つからない。

300元は高すぎると思った玉さんが、玉さんの家の近くのホテルを

紹介してくれるという。

いわれるがままについていき、1泊80元の旅社と書かれたホテルに

いったが、外国人は泊まれないと断られた。

しかたなく、あきらめて元の300元のホテルに泊まることにした。

このホテルも、もともとは600元するらしいが、閑散期のため

半額となっているらしい。

 

フロントでチェックインをすませるとき、玉さんが、

ここは高すぎるから、私の名前でさっきの80元のホテルに

泊まるか、と僕に聞いた。

僕は玉さんの優しさに感謝しながらも、そこまで甘えるわけに

はいかず、またトラブルになって迷惑をかけたくなかったので、

丁重にお断りした。

 

考えてみれば、昨日、夜行電車で出発し、明け方に広州に着いて、

今朝また同じ電車で、とんぼがえりで、南宁に戻ってきたはずの玉さん。

彼女は電車で連泊したことになる。

疲れていないはずがないのに、どうして会ってまだ

数時間の僕にここまで優しくしてくれるのだろう。

そう思うと、胸が熱くなった。

 

僕が見ず知らずの中国人に日本であったとして、

僕という人間は、ここまでしてあげられるだろうか。。。

 

もし、いつかまた日本に来ることがあれば、と

僕はメールアドレスを渡し、玉さんと別れた。

いつか恩返しができるといいな、と思いながら。

 

 

 

 

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これが泊まった300元のホテル。確かに貧乏人が泊まる感じではないw

 

翌日は、12時過ぎに目が覚めた。

慣れない国で、夜行電車で夜を明かしたのだから、やはり

疲れていたのだろう。

まあ、寝ようと思えば疲れてなくても1日10時間以上

寝れてしまう男ではあるが。

 

ホテルで10元で手に入れた地図を頼りに、あてもなく南宁の

街を歩き回った。

それにしても、中国人は仕事でつきあいのある人は

いい人が多いが、印象としては、総じて冷たいと思っていた。

ところが、想定外に、レストランも、ホテルも皆、いいひとが多い。

そう思えるのも玉さんの影響かもしれない。

旅の序盤で、本当にいい人に会えてよかった。

 

日差しの強い日だった。日傘をさしている人も多かった。

空を仰ぐと、青空が視界いっぱいに広がっている。

広州では見られなかった青空だ。

(広州は工場地帯が近いせいで空が基本的によどんでいる)

 

南宁は美しい街だった。道路も幅広で、両脇にはヤシの木が

等間隔で植えられていたし、南湖というところでは、

川にかけられた橋に、赤や黄色のパンジーのような花がところ

せましと、活けられている。

玉さんが南宁は世界的にも住みやすい街に認定されたとか

なんとか言っていた気がするが、なるほど頷ける気がした。

 

 

 

 

 

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美しき南宁の街

南宁は新興の街なのか、ビルも新しそうなのが多く、

見ていて飽きない。

街を歩いている人が皆アジア人でなければ、そして

バイクや自転車がこれほど多くなければ、ここが

アメリカの大都市だ、といわれても信じられる気がする。

 

外食をして、迷路かと思うくらい巨大なスーパーマーケット

でビールを買い、ネットカフェのようなところで

ネットをした。

 

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スーパーは庶民ぽいw

 

mixiという、その頃誰もがやっていたSNSで、知らない人から

友達の承認依頼があった。なんでも、僕の日記を読んで

面白かった、といってくれている。

稚拙な文章とはわかっているが、面白いといってもらえると

素直にうれしかった。

 

だいぶ暗くなってからホテルに戻り、キーカードを使って

自室のドアを開けると、床に見知らぬ封筒があった。

 

開けてみると、ホテルからの伝言が英語で書いてあった。

どうやら出かけている間に、玉さんが会いにきてくれたらしい。

もしできるなら、9時半までに電話が欲しいと、

番号が書いてあった。

 

僕はベッド横に置いてある時計に目をやった。

ちょうど9時半だった。