過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 22 ベトナム編《フエ・灰色の空》
深夜に電車に乗り、少しうたたねをして
目を覚まし、読書をしていると、駅員が
フエが近いことを教えてくれる。
電車が駅に停車し、僕はここがフエか?
ここがフエか?と何人にも確認して
ようやく下車した。
ホームには、土産物屋が並んでいる。
改札をくぐると、はみ出さん限りの
タクシーの列が、
タクシー?!
タクシー?!
と叫んでいる。
ベトナムのタクシーはいい噂を聞かない。
歩いていくことにしよう、
歩いていればどこかにホテルくらいは
あるだろう、そう思って歩き出すと、
ベトナム人男性が話しかけてきた。
ハロー?ホテル?こんにちわ!
日本語で話しかけてくる詐欺が多いの
は知っていたが、そうは思っていても
日本語で話しかけられるとなぜか
嬉しくなるものだ。
(注:こういう油断が詐欺にあいます)
ホテルはいくらなのだ、と聞いてみると、
ドミトリー?
シングル?
と聞いてくる。
ドミトリーはいくら?と聞くと、
ドミトリは―ないという。
なら聞くなよ。。。(苦笑)
何がなんだかよくわからないが、
悪いやつではなさそうなので、
いわれるがままに彼の車に乗った。
今にも空が泣きだしそうな暗い雲を
車窓から眺めながら、
そういえばあまりこの旅に出て
相部屋というものに泊まっていないし、
あまり耳にもしないな、と思った。
そもそも物価が安いから、外国人が
泊まるようなホテルはドミトリーは
あまりないのだろうか。
日本人がオーナーだというホテルは、
想像していたよりよっぽど快適だった。
特に、日本語が入力できるネット回線
付きのPCが置いてあるのは助かった。
友人とメッセージのやり取りをした
後、メールを開いた。
珍しく、母親からメールがきていた。
なんだろう、と思い開いてみる。
そこには、こうかいてあった。
「お父さんが、ガンの疑いがあって、
22日に検査をうけます」