人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 一人旅 8 中国 《山水桂林へ電車で向かう》

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2階建て電車

 

翌朝、僕は6時半に起き、南宁駅に向かった。

玉さんに勧められた、山水桂林に向かうつもりだった。

ここまで旅行に来て、行かないのはもったいない、

とまで言ってくれたのだから、行くなら今!しかない。

 

南宁駅は、広州駅ほどではないにしろ、相変わらず

とにかく人が多かった。

ホテルの人が教えてくれたとおりの時刻に、電車があって

僕は胸をなでおろす。

また半日も電車を待つのはこりごりだった。

 

桂林に向かう電車は、2階建ての倉庫みたいな乗り物だった。

僕が座った席には、向かいあわせに3人組のおばちゃんが

いて、テーブルを使ってミカンやバナナなどを食べて

騒がしい。どこか日本の田舎列車みたいで、微笑ましくもあった。

 

途中、川やら運河やらが車窓から見えた。

目の前のおばちゃんたちが、ここはどこだ、といった風に

僕に話しかけてくる。

この電車が本当に桂林に向かっているのかも不明な僕に、

もちろんわかるわけなどない。

Japanese(日本人)だ、と僕は言った。

すると、メモ紙に漢字で、「日本人?」と聞いてくる。

YES、とこたえると、自分たちは四川出身だと言って、

おばちゃんたちは、わけもなく声をあげて笑った。

 

しばらく車窓を眺めていると、苔のはえた、楕円形の

岩石群が見えてきた。

 

 

 

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中国の車窓から。。。


そして、段々畑や、放し飼いなのか

野良なのかよくわからない牛たちが、のんびりと

草を食べている光景が広がる。

 

南宁に着いた時は明け方だったから、車窓からの景色とは

無縁だったので、電車から広がる広大な景色に、

僕はしばし見とれていた。

 

時折、制服を着た駅員らしき男性が、行商にくる。

手品や大道芸人まがいの物腰で、通路を大声で

闊歩していく。誰が電車で日用品を買うのか、と思うが、

不思議とみんな色々と購入する。

歯ブラシなど、びっくりするぐらいの勢いで売れていった。

 

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あるよーあるよーなんでもあるよー手品もしちゃうよー

桂林駅に着くと、チラシのようなものを配っている

制服の駅員がいた。僕が英語を話せるか、と聞くと、

話せる人間に案内する、という。

準備のいいことだ。

 

いわれるがままについていくと、ホームと連結した

場所に、小さな小屋とその中に小部屋があった。

桂林に行きたいんだけど、と聞いてみると、

バスか船か、どっちがいいかと返事がくる。

そういえば玉さんが、船がいいといっていた。

僕は船を選ぶことにした。

 

船でヤンソーというところに日帰りで行き、バスで帰ってくる

ツアーらしく、440元だという。

そこまで言われて、僕は相手が駅員ではなく、

旅行会社の人間だということにきづいた。

(もしくは兼任なのかもしれない)

 

できればツアーなどではなく自力でいろんなものを

乗り継いでいきたいが、ガイドブックも何もない自分に、

それができるとは思えない。

変にこだわってここでしか見れない絶景を見逃すのも

いやだな、と思い僕はOKすることにした。

 

その駅員の女性は僕のOKという言葉に気をよくして、

ついでに、もうひとつツアーがあるという。

こちらは190元で、さっきより安い。

アー写真には段々畑のような景色が広がっている。

これを逃したらこんなところにくることもないな、

と思い、どこにあるのかもわからないそのツアーにも、

僕は参加することにした。

 

ようやく交渉成立、と思いきや、

今度は今夜はどこに泊まるか、いい宿があるといってくる。

いくらか聞いてみると、160元の安いところがあるという。

中国にしては安い、気がする。。。

今まで外国人だからと断られたり、さんざんだったから、

僕は勧められるがままに3泊泊まることにした。

 

じゃあ、3泊後はどうするの、とまくしたてるように

女性駅員がきいてくる。

ベトナムに行くのだ、と僕がいうと、

桂林ー南寧ーベトナムの1泊ツアーがあるよ、

たったの550元! と目を輝かして言ってきた。

 

ここまでくると、日本帰国までツアーで

手配しそうな勢いだ。

 

僕が鉄道でベトナムに行くんだ、というと、

電車は月・金曜日だけだからやめとけ、それに自分で

全部手配しても、どのみち400元はかかるよ、といわれた。

真偽のほどはさっぱりわからない。

 

僕は洋服を買っているときみたいに、買いだしたらあれも

これもの勢いになってしまっていると思ったが、

結局全部申し込むことにした。

 

ちなみに値切ろうとしたら、30元しか安くならなかった。

じゃあいいよ、別のところに行く、といえば

もっと安くなる気もしなくはなかったが、

ああ、そう、勝手にすれば、といわれても困ってしまう。

それに、駅構内で制服を着た詐欺手配人ということも

あるまい。

 

たぶん。。。