過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 80 カンボジア編《シェリムアップ バイタクと酒を飲む ②》
50歳くらいの年齢と思われる
バイタクの運ちゃんが、缶ビール片手に
自分の生活について、語りだした。
両親もバイタクで、貧しかったから、
バイタクになるしかなかった、
学歴もないに等しい、と彼はまじめな顔で
語る。
英語をどこで学んだんだ、と僕が聞くと、
彼は口をつぐんでしまう。
By yourself ? (独学か?)
と僕が聞くと、彼はまるでそれが恥ずべき
ことでもあるかのように、
真面目な顔で、YES、YESと繰り返した。
恥ずべきことどころか、独学で話せる
ようになることのほうが、よっぽど
すごいんだけどなあ。。。
彼は、子供が3人いて、働いているのは
自分だけで、6人家族をバイタクだけで
養っているという。
ここでの生活費がどれくらいかは
わからないが、恐らくバイタクでは
1日10~20ドルくらいの稼ぎが
せいぜいだろう。
オフシーズンなど、ろくな稼ぎはない
のかもしれない。
子供も大学にいかせたいのだが、
お金がない、と彼はため息をつく。
僕は興味本位に、カンボジアの大学
学費はいくらなんだ、と聞いてみると、
年間300ドル、と彼はこたえる。
年300ドル?!
日本なら30倍くらいしそうだ。
3万円の学費が払えないのか。。。
彼には悪いが、ちょっと想像ができない。
金がない、と落ち込む彼に、僕はいった。
でも、お金があっても、幸せとは
限らないんじゃないか、と。
日本では年間3万人自殺しているが、
カンボジアでは自殺する人はほとんど
いないだろう。
彼は僕の言葉に驚いていたが、理解は
できないようだった。
それもそうなのかもしれない。
彼らにとって、金=幸せなのだ。
そしてその考え方は、彼らにとっては
真実であり、間違ってなんかない。
結局、人間はないものねだりなのかも
しれない。
金がなければ金がほしい、
家がなければ家が欲しい、
恋人がいなければ、恋人がほしい、、、
もちろん、困窮するほど貧しければ
まず絶対的にお金が必要なのは間違いないが、
人間という生き物は、原則的に、
いまあるもので、
幸せを感じられなければ幸せにはなれない。
だが、そういう自分は、
好き勝手生きている自分は、
胸をはって、幸せだ、といえるだろうか。
隣のホテルから、日本人同士で
盛り上がっている声が聞こえてきた。