人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 73 カンボジア編《シェリムアップ到着》

 

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シェリムアップ到着


バスが停車した。どうやらシェリムアップに

ついたらしく、乗客が降りだした。

 

窓の外には、例のごとくバイタクが、

蛍光灯に吸い寄せられる羽虫のように、

群がっている。

 

彼らも善良な一般市民なのだろうけれど、

肌黒い彼らを見ていると、降りて大丈夫だろうか、

と思わずにはいられない。

まだ、カンボジアがどういう国なのかも

わからないのだ。

 

だが、降りる以外に選択肢はないので、

意を決するようにして、僕はバスを降りた。

 

既に夕方6時となっていて、暗くなり始めて

いる。

 

ホテルはどうしよう。。。

 

重い荷物をしょったまま夜道をうろうろ

徘徊する気にもなれず、バス停のバス会社に

ホテルを聞いてみると、バイタクを呼んで

呼んでもらった。

 

バイタクに連れてこられたホテルは、

2階建ての清潔そうなホテルだった。

 

ホテルのフロントで、高いと困るな、

と思いつつ恐る恐る値段を聞いてみると、

ほとんど無表情の真面目そうな男が、

6ドルという。

600円。安い。

 

外へ出ると、大学生くらいの女性が

バイタクと日本語でやりとりをしている。

ロングの黒髪をした、活発そうなコだ。

 

どうしよう、話しかけてみようか。

既に一カ月くらい旅行している僕は、

もうみなりも立派な不審者だ。

日本なら、職質確実だろう。

下手したら検挙されてもおかしくない。

 

だが、僕はキリングフィールドで

日本人と久しぶりに会話をしてから、

日本人との会話に楽しさを感じていた。

 

長い一人旅でいささか孤独を感じていた

のかもしれない。

 

目が合ったので、話しかけてみると

きさくなコで、これからみんなで鍋を

食べに行くからこないか、と聞いてくる。

いきなりホテルから出てきたばかりの

髭をはやした不審者を、夕食に誘って

くれるとは、なかなかも猛者だ。

 

日本人と話はしたいものの、

見知らぬ他人に囲まれる夕食は

いささか気おくれしたが、

せっかく誘ってくれてるのだし、

行くことにした。