人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 77 カンボジア編《シェリムアップ 支払いに関するディスカッション勃発 ②》

 

f:id:jinsei-mikiri-hassya:20211205101241j:plain

議論は続くよどこまでも、、、

 

深夜0時をとうに回っているにもかかわらず、

バイタクが飲み代を支払わなかったこと

に対する若者たちの議論は続いていた。

 

なんだか、全然的外れな議論をしている

一般市民参加型の討論会番組をみている

ようで、僕はげんなりしてきた。

 

ある女のコが、ケイスケさんにいった。

「ケイスケさんもこうなるのがわかって

いたなら、なんで黙っていたんですか」

今度はケイスケさんが槍玉になりかけている。

こうなる、というのはバイタクがお金を

払うつもりがなかったことだ。

 

さすがにそれはないだろう、と僕は思い、

「別に僕らはケイスケさんをガイドとして

雇っているわけではないのだから、そんな

ことをいうのは筋違いだろう」

といいかえした。

 

だが、議論はいっこうに収まる気配はない。

 

カンボジア人に対して、

「それはひどい」

「僕なら許さない」

みたいなことを血気盛んにいっている男がいる。

 

議論をしている学生たちは、

みんな、日本人はなめられている、

と声高に叫んでいるが、

なめられてもいいじゃないか、

何にそんなプライドを持っているのだろうか、

と僕は思う。

 

日本人は貧しい東南アジアの人々より

すぐれている、とでも思っているのだろうか?

そう自信をもっていえるようなことを、

いままで彼らはしてきたのだろうか?

 

もうさすがに、げんなりしていたので、

帰ると告げて僕は不意に立ち上がった。

(ちなみに僕は違うホテルだったが、まだ

フロントはあいているだろうか。。。?

という疑問が一瞬、頭をもたげた)

 

帰ろうとする僕に、ケイスケも立ち上がり、

僕に話しかけてきた。

「中立的に、客観的に僕をカバーしてくれて

ありがとうございました」

そういって彼は頭を下げる。

若いのに、とても謙虚な人物だ。

 

僕は別にいいよ、と少し微笑む。

あらたまって礼をいわれるほどのこと

でもないし。。。

僕は、とにかく、彼らの議論に腹がたった

から口をはさんだだけにすぎない。

 

それに、僕はケイスケさんの言った

「日本人は金をもっているから払う、彼らは

ないから払わない、それの何がいけないんだ」

という言葉に100% 賛成だった。

 

ともかく、1ドルを稼ぐのに必要な

努力と熱量が、日本人とカンボジア人では

圧倒的に違いすぎるのだ。

 

例えば、ファーストクラスにのるような

国ごと買えるくらいの金持ちと超豪華な

食事をし、何百万円もするワインを飲んだ

として、自分は低収入のため、

これだけしか払えませんと3000円でも

出すか?

自分なら恥ずかしくてそんな真似はできない。

素直に奢ってもらうだろう。

 

議論に白熱していた学生たちも、確かに

無理してアルバイトをしてやってきているの

かもしれないが、こういってはなんだが、

一般的なカンボジア人に娯楽である海外旅行や

留学への自己投資をする余裕はない。

 

それに僕は(この後もたびたび旅の途中で

耳にすることになるのだが)

「金の問題ではない」

という彼らの口にした言葉が嫌いだった。

 

誠意でも示せ、とでもいうのだろうか、

それって、とても失礼なことではない

だろうか?

 

ケイスケさんは、明後日彼が立ち上げた

NGOに来ませんか、と誘ってくれた。

どうやら他に行く人がいるらしく、

一緒にどうか、と親切にも提案して

くれているようだ。

 

興味があった僕は、電話番号を聞いて、

行く約束をし、ようやく長い夜が終わった。