人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 56 ベトナム編《ホーチンミン 都会の闇夜》

 

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見切り発車 同じ過ちを繰り返すの巻

 

 

カジノを数件はしごしたが、全く勝てずに

2000万ドンがホーチンミンの闇夜に消えた。

 

ルーレットで赤黒(確率約2倍で、当たると

賭け金が倍になる)で、当たるとさらに

ダブルチャンスで頭上からでかいサイコロが

二つ落ちてきて、半か丁か賭けるという、

アメリカ、マカオシンガポール、ドイツ、

イタリア、マルタ、イギリス、ベルギー。。。

と数えきれないくらいカジノを回った

世界を股にかけるギャンブル中毒の僕でも

腰を抜かすマシンに、うつつを抜かしすぎた。

(あほの典型。。。)

 

ことギャンブルに関しては、全く自制が

きかない。

(自制がきかないから放浪の旅に

でちゃったのかな。。。)

 

普通の人間ならば、数日前に

奇跡的に15万円負け近くからプラス

2万円まで戻しただけで奇跡なんだから、

そこで足を洗えばよかったのに、と

思うだろう。

 

うん、まあ、

負けた今ならそう思える。

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画像はイメージです

 

なにしろ、中毒者は負けたイメージではなく

勝ったイメージ、アドレナリンが

花びら大回転、

大放出した時のイメージだけが、強く

イメージに残るものなのだ。

 

ギャンブル中毒者がやめられないのは、

それが原因だ。

本人はトントンかちょっと負けている

くらいと体感で感じているドギャンブラーは

大抵、既にそこそこの財産をどぶに捨てている。

 

ほぼ手持ちの2000万ドンを使い切り、

自分自身への愛想がもうだいぶ

尽きかけた僕は、カジノを出て、

フロントでタクシーを呼んでもらった。

 

ホテルに帰る途中、ハンドルを握るタクシーの

運転手が僕に行った。

マッサージはどうだ?

 

またそれか。。。

僕は力なく息をついた。

 

多少状況は違えど、バイタクに

ぼったくりバーに送り込まれたのに、

行くわけがない。。。

 

いや、もうやけくそで、どんなところ

か行ってみようか、とすら思う。

どうせなら、おちるとこまで

おちてしまったほうがいいのかもしれない。

 

そこで、死ぬような悲惨な目にでも

合わなければ、自分は目が覚めない

ような人間なのかもしれない。。。

 

そうはいっても、ホテルのフロントが

何時まであいているかわからない、

と僕がタクシーの運転手に言うと、

24時間あいてるに決まってる、という。

 

本当にそうなのだろうか。。。

僕がタクシーから降りると、運転手は

ここで待っている、という。

運転手の目は、日に焼けたような、

どすぐろさを感じさせる赤い目をしていた。

 

ホテルに戻ると、やはりフロントは24時間

あいているらしいことがわかった。

 

とりあえず部屋に戻る。

ベッドの上に無造作に置かれた、自分の

バックパックを見て、僕は現実に戻る。

 

何をやっているんだ、オレは。。。

10万円くらいすったくらいで、

自暴自棄になって、やけくそか?

 

部屋においてある、長方形の大鏡

うつった自分が、僕を嘲笑っているかの

ように思えた。

 

僕がタクシーに戻ると、運転手は笑顔で、

さあ、乗れ、と後部座席のドアを開けた。

 

僕は、行かない、とこたえた。

赤い目の運転手が、驚いたような顔を見せる。

 

僕は、ホテルのフロントが閉まってしまう

から帰る、とウソをついて、2万ドン渡して

タクシーから離れた。

 

運転手は、僕を引き留めようと必死で、

その必死さがますます僕の行く気を

なくさせてくれた。

 

そもそも、律儀にタクシーまで戻ってくる

必要もなかったのだが、この男もひょっとしたら

僕を騙そうとしているのではないかもしれず、

ただのサービス業としての仕事をしている

のかもしれず、そうだったら悪いと思ったのだ。

 

ホテルまでの50mくらいを、違うポン引きの

ような男たちが僕を呼び止める。

 

帰る、帰るのだ、といって振り切った。

 

ホテルに着いた僕は、

明日はもう、違う街に行こう、と決め、

地図を見た。

 

南にCantno という地名がある。

何があるのか、どんな街なのかもわからなかった

が、とにかく先に進むのだ、と思いフロントに

バスはあるか、と聞いた。

 

バスはあるが、AM11時の1日1便しかない

とフロントの若い女性はいった。

 

僕はそれに乗ることにし、8ドルを払った。