人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 40 ベトナム編《ダナン ぼったくりバーにひっかかる ②》

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見切り発車 ぼったくりバーで てんてこまいの巻(画像はイメージ)

 

 

僕は冷静になって、男たちを見た。

 

痩せた中年のやさぐれ男と、もう一人の

若い男はたいしたことはなさそうだ。

(ひょっとしたら一子相伝

暗殺拳ベトナム拳法の使い手かもしれないが)

 

だが、小太りのずんぐりした体格の

髭男は、いかにも場慣れした感じで、

いうならば、何人も殺してきたかのような

めつきをしている。

 

当然、こんな商売をしているのだから、

いつも客とこういうやりとりはしている

に違いなく、僕のような愚かな客の相手

も慣れたものなのだろう。

 

そもそも、別に僕も喧嘩慣れをしている

わけではなく、格闘技の心得も当然ない。

3人いっぺんにこられたら、勝ち目は

ないだろう。

 

僕はちらりと、入り口のドアに目を向ける。

僕の両隣に男が座っていて、テーブル越しに

小太りの男がたっていて、ドアは

その小太りの男の右斜め背後といった位置関係。

 

いきなり立ち上がって逃げるのは不可能

と思えた。

 

それに、ここはビルの3階の小部屋だ。

他の部屋がどうなっているのか、

他にもチンピラやくざみたいな

男たちがいるのか、それすらわからない。

 

隙を見てドアから逃げたとしても、

逃げきれるかどうか。。。

 

しかしだからといって、おめおめと5万円

近くを払う気もおきなかった。

 

なにしろ、ビール1本しか飲んでいないし、

キャバクラ嬢だってほとんど会話してない。

 

50ドル以上は払わない、それしかもって

ない、と僕はいった。

 

もちろん、ウソだった。

というか、数日前にカジノで取り返した

2500万ドン

がそのままウエストポーチに眠っている。

 

5万どころか、15万円くらい余裕で

払えちゃう状態だった。

 

《続く》