人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 43 ベトナム編《ダナン ぼったくりバーにひっかかる⑤》

 

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見切り発車、追い詰められるの巻(画像はイメージです)

 

 

Look, I don't wanna hit you.

(俺はお前を殴りたくはない)

 

小太りの男が、壁に僕を追い詰めながら

そういった。

 

意訳すれば、つまりこういう意味だろう。

 

殴られたくないなら

金を出せ

 

だが、実際には

「殴られたくないなら金を出せ」

とストレートにいわれるより、

彼が発した、

「俺はお前を殴りたくない」

というセリフの方が何倍も怖かった。

 

だが僕は、一瞬だけかもしれないが、

怒りが恐怖を超えたのか、それとも

平和ボケすぎてて

本当の意味での現実を理解してなかった

のか、普段の自分からは想像もできない

セリフを返した。

 

You can hit me, but 

I will hit you back!!

(殴りたいなら殴れ、だが、

俺は殴り返す)

 

小太りの男は、僕の反応が予想外

だったのか、黙り込む。

しばらくして、男は再び口を開いた。

 

...Show me your wallet.

If you really don't have money,

I will let you go.

(財布を出せ、本当に金がない

なら許してやる)

 

なんだかわからないが、やはりこういう

からには、店側にとっても警察を呼ぶのは

分が悪いようだ。

思ったよりベトナムの警察はまとも

なのかもしれない。

 

ここで、財布を出さずに、いきなり

掌底で目の前の男の顎骨をまっぷたつにし、

ストリートダンサーのような

身のこなしで、他の男を足払いで

転倒させ、ひるんだ最後の男を

後ろ回し蹴りで壁まで吹っ飛ばせたら

格好いいのだが、現実にはそうもいかない。

 

なんせ、僕は格闘技の経験はないし、

もっというならば喧嘩すらほとんどした

ことがない。

(それでまあよく海外の夜道を一人で

徘徊してるもんだ。。。)

 

それに、彼らがどこまでの覚悟があるのか、

それがわからなすぎる。

なにしろ、ここは日本のスナックではなく、

ベトナムなのだ。

 

彼らが本当に、場合によってはビール瓶で

僕の頭を割ってもいいと思っているとしたら、

冗談じゃなく命懸けといえる状況だった。

 

《続く》