人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 30 ベトナム編《フエ カジノでルーレットに溺れる ⑥ 驚愕の結末》

 

f:id:jinsei-mikiri-hassya:20211027115238j:plain

見切り発車 カジノでまさかの結果に


緑のポケットに白球を沈めたまま、

ルーレット盤はゆっくりと旋回していた。

 

僕と黒服の女性従業員は、つかのま

それをみつめていた。

 

僕は赤とは別に、15ドルを「0」という

数字に賭けていた。

数字に当たれば、36倍、つまりそれは、

540ドル、日本円にして5万円となった。

 

画面上の僕のクレジット残高が、一気に

1500ドルを超えた。

最後の最後に、まくれるなんて奇跡に

等しい。

現実は大抵の場合、ギャンブラーを

地の底の底まで突き落とすからだ。

 

さすがにもうやめよう、と僕は思った。

これでプラスは200ドルを超えたわけで、

ここから続けるとなるとどこを目指して

いいかがわからない。徹夜になりかねないし、

また残高がきれいになくなるにも

そう時間がかからない可能性だってある。

 

もうやめる、と僕がいうと、

ベトナム人女性の黒服従業員は、ほっと

したような顔をみせる。

 

客が勝ち逃げしようと

しているのに、

ほっとしたような

顔をみせるって、

すごいなあ。。。

 

僕の勝ち負けは恐らく、彼女の収入には

関係ないだろうが、他人の僕を何故か

多少なりとも心配してくれていた様子だ。

 

あるいは、彼女は僕のような中毒者が

このカジノで身を亡ぼすのを何度も目に

してきて、今日またその光景を記憶に

残すのがいやだったのかもしれない。

たぶん、きっと、そうだろう。

 

黒服女性がテーブルから離れていき、

僕はその場にしばらく取り残された。

 

まさか、パスポートがないから支払い

できない、なんて言い出さないよな、

と心配になりだした。

人生においては、往々として、

いやな予感ほど、あたるものである。

 

だが僕を待っていたのは、想像とは

違った種類のサプライズだった。

 

 

Come Here!(こっちにきて)

 

と声をかけられ、いわれたとおりに

キャッシャーへ向かった。

 

先ほどとは別の黒服女性が、凄まじい

量の札束を抱えていた。

これなら何人いても札束で頬を殴れる

量だ。

 

え。。。

まさか。。。

それって。。。

 

ベトナムドンなの??