人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 37 ベトナム編《ダナン ビーチで徘徊する》

 

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曇り空の海岸

 

すきっ歯のバイタクに、ダナンのビーチ

に連れて行ってもらった。

 

ダナンのビーチは開けていて、海岸線が

遠くまで広がっている。

左手にはコブのような形の丘が見え、

雲がそれを覆うようにたれこめている。

 

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たれ込める雲(なにかの暗示??)

 

 

モニュメントのようなものがあり、

すきっ歯のバイタクが、

何時に帰るんだ、と聞いてくる。

どうやらここを待ち合わせに

したいらしい。

 

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モニュメント?


片道しかバイタクに乗らない、と

はっきりいったのに、

なかなか商売根性旺盛なやつだ、

と僕は苦笑する。

 

6時くらいかな、とこたえ、

僕がとりあえず片道分の金を

払おうとすると、

バイタクは、ノーノ―、後でいい、

と返してくる。

僕のホテルを知っているからなのかも

しれないが、なかなかいいやつだ。

 

曇り空のビーチでは、サッカーをしている

子供たちがいた。

高級そうなレストランが並んでいる一角を

とおりすぎると、教会があった。

 

教会を見ると、とりあえず入ってしまう

習性をもつ僕は、中に入ってみた。

中は改修中のようだった。

 

祭壇のようなものの前に老婆がいて、

キリストの像の前で線香のようなものを

あげ、静かに、祈りをささげていた。

 

この誰もいない教会で、何を思い、

何を祈っているのだろう。。。

 

ビーチには、藁ぶきのパラソルがいくつか

並んでおり、地元の人間が座って海を

眺めていた。

 

寒くはないが、泳いでいる人は殆どいない。

 

海は、

僕を落ち着かせ、

時に、

波立たせる。。。

 

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どこか寂しい海岸

 

午後6時少し前に、待ち合わせの

モニュメントに戻ると、バイタクは既に

僕を待っていた。

 

いつの間にか、あたりは暗くなっていた。

ベトナムの午後6時は、日本でいう午後8時

なのだから、当たり前と言えば当たり前だ。

 

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夜のモニュメント

 

川をわたす、大きな橋を、ライトアップ

された壮観な景色の中を、

バイタクは僕を乗せて疾走する。

 

バイクは後部座席でも、風邪が気持ちいい。

どうせなら、原付を借りて旅行したい

くらいだ。

 

バイクで街に戻りながら、バイタクが

横顔に笑顔をみせながら、僕に言う。

 

自分は、子供が3人いて、とても貧しく、

娘にせがまれても、ろくに何も買って

やれない、と。

 

少々芝居がかっている気がしなくも

なかったが、案外、本心なのかもしれない、

と僕は思った。

今日の稼ぎが僕の往復で4万ドン、

それ以外にいろいろ回ってもせいぜい

1日20万ドン、1500円くらいにしか

ならなそうだ。

とにかくバイタクが多すぎて、競争も

熾烈に違いない。

 

バイタクは再び僕に話しかける。

明日、マーブルマウンテンに行かないか?

またそれか。。。僕は、行かない、という。

 

じゃあ、女はいらないか?、とバイタク。

金がない、と僕は返す。

 

そもそも海岸まで片道でいい、と

100円をせびった僕の財布事情は

おしてはかるべき、と思うが。。。

それとも貧乏な旅をしているから

金がないわけではないことを、彼の

嗅覚では気づいているのだろうか。。。

 

金がない、といった僕に、バイタクは

オーケーオーケー、じゃあ、バーは、

どうだ、といってくる。

 

どうやら何かを選んでもらわなければ

気がすまないらしい。

 

バイタクいわく、女の子と飲んで、

酒を飲みまくっても、10ドルくらい、

20ドルを超えることはないという。

 

それは安いな、と僕は思った。

日本の田舎のスナックだと、九州の

都城あたり(やけに詳しい)くらい

の価格だ。

 

思えば、ベトナムに来てから店で

酒を飲んだ記憶がない。

バーに行くくらいならいいかもしれない。

 

この昼間から付き合っているバイタクも

、さすがにあんまり変なところを

紹介したりしないだろう。。。

 

だが、その判断が間違っていたことを、

僕は、ほどなくして知ることになる。