過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 51 ベトナム編《やさしいまち クイニョン》
雨でぬかるんだクイニョンの街を歩く。
バイタクは今までのベトナムの街と
比べると、だいぶ少ない。
ダナンより田舎のせいかもしれない。
ヘイ、と若いバイタクに声をかけられ、
ノーと即答すると、他のバイタク友達
に、声をかけてきたバイタクは笑われていた。
仲のいいバイタク同士らしく、
なかなか微笑ましい光景だった。
ここはかなりの地方らしく、道路も舗装
されていないところが多い。
まるでカウボーイとガンマンがでてきそうな
昔のアメリカ映画の荒野みたいなところだ。
背広にニット帽をかぶり、短パンに
サンダルというへんてこな格好をしている
若者とすれ違った。
服であればなんでもいいのか、あるいは
実はこれが最新ファッションで、パリコレに
出ようとしているか、どっちかに違いない。
15,000ドン(100円くらい)で手に入れた
マップに乗っている、ツインタワーという
名所らしきところに行くことにする。
だが、地図の見方もよくわからず、
路地裏をひとり徘徊した。
そこらへんに歩いている住民に、
地図を見せて、ツインタワーはどっちだ、
と聞くと、英語は誰もさっぱり話せないよう
だったが、皆、あっちだこっちだと
親切に教えてくれる。
言葉も通じない見知らぬ他人の僕に対しても、
田舎だからだろうか、皆親切だった。
これは日本でも同じかもしれない。
住民の皆様のご教示をもとに歩いていると、
いつのまにか大通りに出て、奥には
ツインタワーらしきものが見えた。
ツインタワーに近づき、遠めに眺めてみる。
レンガのようなものを積み上げて作って
いるのだろうか。。。
不意に、警察なのかセキュリティーなのか、
制服姿の男が近づいてくる。
まずいな、と思い、写真を撮ったら立ち去る
から、と言うと、
オーケーオーケーと言って、
制服姿の男は、門を開けてくれた。
一介の旅行者にすぎぬ僕に、この親切。
いまでいうなら神対応ってやつだな。。。
ありがたや、ありがたや。。。
レンガで積み上げられた二つの遺跡が
天に向かって伸びていて、中には祭壇の
ようなものがあった。
遺跡の中に入り、見上げると、天井からは空が見える。
まるで、井戸の底から空を見上げた
ような不思議な感覚をおぼえた。
蛙が見ている光景は、こういう
感じなのだろうか。。。