人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 一人旅 11 中国編《段々畑ツアー》

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山水桂林的船着場

 

翌日、昨日と同じホテルで、8時にピックアップされ、

段々畑に行くというツアーに出発した。

 

AUTO DOORとかいてあるドアを開けっぱなしで、

バスは走り出す。今日はローカルのツアーなのか、

同乗者は皆中国人のようだったが、一人だけ白いひげを

生やした、50歳くらいの青い目の白人が混じっていた。

外国人同士ということもあり、話をしてみると、

白人はロンさんというカナダ人だった。

 

ロンさんは、昨日、僕と同じツアーに参加したらしいが、

440元は高いと思い、中国語のみの現地ツアーを

選んだという。200元くらいですんだそうだ。

 

ロンさんは気前よくモノを買うことが、

地域貢献と思っているようで、行く先々で

色々なものを買っていた。

気が付くと、ロンさんが行くところには

物売りの人だかりができる始末だった。

 

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Mr. 爆買い、その名もロンさん

とはいえ、ロンさんは旅慣れていないわけではなく

ラオス、上海、イタリア、スペインと数えきれない

くらいの国を旅してまわっているそうだ。

ラオスメコン川で船で2日間すごしたらしいが、

僕もラオスに行ったらぜひやってみたい。

 

ここの地名すらよくわからなかったが、

段々畑は確かに壮大だった。

 

太陽に照らされて、段々畑の斜面という斜面が、

眩い光を謳歌しているかのようだ。

標高が高いせいか、冷たい風が心地よい。

 

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段々畑的風爽快

 

途中の観光地で、誘われるままに、民族の舞踊に

混じって踊った。

リズムに合わせながら、輪になって踊る。

まるで小学生のお遊戯みたいだったが、

みんな楽しそうに笑っていて、僕も笑顔を見せながら、

輪の中で踊った。

何事も、楽しもうと思わなければ、楽しくはならない。

 

ツアーが終わるころには、ロンさんは意味不明な

ブレスレットでカバンがいっぱいになっていた。

自分で店が開けるなこりゃ、とロンさんは

屈託なく笑う。もちろん、本気ではないだろう。

ひいき目にみても、それほど価値があるとは思えない

シロモノばかりだった。

ロンさんは、なんていいひとだ、と僕は思った。

 

観光地で散財することで、その地に住む人々の生活の糧に

なるから、できるかぎり余計なお金でも使ってあげること。

僕は、ロンさんの考えには賛成だ。

 

だが、売る側が、悪意がなくても、あまり価値のない

シナモノをただ売っているのだとしたら、いつか商売は傾くだろう。

そういう価値のないものを買ってあげるとしたら、

本当の意味では現地の人のためにはならないかもしれない。

だが、もちろんそんなことはロンさんにはいわない。

ひとそれぞれ考え方は違うし、僕がただひねくれているだけかも

しれない。

それに、ロンさんの優しくていいひとなのは間違いはない。

そのロンさんが、正しいと思って自分の金を使ってやって

いることに、僕なんかが口を出すことは何もない。

 

バスがホテルに着き、ロンさんと握手して、僕はバスを降りた。

ロンさんの握手は、力強く、生きる力と、生命に

あふれているように感じた。