人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 50 ベトナム編《クイニョン 悩める友人を思う》

 

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見切り発車 数少ない友人を思うの巻


夕食を終え、先に寝るというアメリカ人の

おじさんが去った後も、僕はレストランに

残り、日記を書いていた。

 

台風でも近づいているのか、外は大雨の

らしく、管楽器のように屋根を叩く大粒の

雨音が店内に響いていた。

 

2時間ほど日記を書き、外に出ると

さっきの雨はウソのように

やんでいて、雲の隙間から星が見える

ほどだった。

 

ホテルに戻り、常設してあるゲスト用の

パソコンを開き、ネットをのぞく。

 

岡山の友達から、メールが来ていた。

 

僕がオーストラリアでワーキングホリデー

をしているときに語学学校で知り合い、

今回の旅の前には、なんと岡山から

東京までわざわざ見送りにきてくれた、

友情に熱い少し年下の女の子だ。

 

彼女は今、長期でカナダに行こうか

悩んでいるらしい。

 

僕も、この旅に出る前は相当悩んだし、

なんなら旅をしている真っ最中の

今でも悩みっぱなしだ。

 

やらないで悩むより、やってから悩めばいい

やらないで後悔するより、やって後悔した方がいい

 

テレビでも雑誌や広告でも、皆、口を揃えて

そういうが、それは本当だろうか。

 

結局、「やった」ことで成功した人間だけが

いえるセリフではないだろうか。

 

だが、物事は表裏一体で、当然ながら、

うまくいかないこともあるし、

「やる」道を選んだとして、

「やらなかった」道がいつまでも

そのままの状態でいてくれるとは限らない。

 

僕の例でいえば、仕事を辞めて旅をしているが、

帰国したら、もとのような仕事につけない

かもしれないし、下手したら一生正社員に

戻れないかもしれない。

 

例えば、脱サラをしてラーメン屋を始めて

うまくいかず、何千万も借金を背負った

人に対し、やらないで後悔したより

よかったんじゃない?とはいえないだろう。

 

だから、当事者は簡単には割り切れない。

 

後悔だけはするな、とも人はいうけれど、

それも、どこか無責任な気がする。

 

程度の差こそあれ、そもそも人間は後悔する

人間だし、後悔しない人など僕は会った

ことはない。

 

だから、僕が人様にいえるとしたら、せいぜい、

後悔するかもしれないけど、

自分の信じる道をすすんだらどうだろうか、

くらいなのかもしれない。

 

色々と考えた末、岡山の友達に

末尾にこう付け加えて返信した。

 

「決定がどうあれ、僕は君の味方だよ」

と。

 

(英語でいえば、かっこいいのに、

日本語でいうと、どこかクサイ)

 

送信した後、僕は再び考える。

 

ひょっとしたら、どの道を選ぶかは、

そんなに重要ではないのかもしれない、と。

 

どちらかの道を選んだあと、自分がどう

行動していくか、それが結局、

その道が正しかったかどうかを決定

づけるわけだからだ。

 

それが、結局、まわりまわって、

「後悔しないことが大事」という

言葉に、つながっていくのかもしれないな、

と思いながら、僕はパソコンを閉じた。