人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 13 ベトナム編 《陸での国境越え》

 

 

f:id:jinsei-mikiri-hassya:20211006160759j:plain

カラフルなベトナムの建物たち

ベトナム行のバスが、停車した。

トイレ休憩かと思ってバスを降りると、

皆、荷物を受け取って歩いていく。

 

f:id:jinsei-mikiri-hassya:20211006160835j:plain

確かこれがイミグレだったはず。。。

ひょっとしてここが国境なのだろうか。

両替商らしき男がウロウロしていて、何人か両替していた。

レートは期待できなかったが、国境を越えて

無一文でも困るので、100元を渡す。

お返しに、25万ドンが返ってきた。

 

25万ドン?

 

1円=100ドンくらいの計算になるのだろうか。。。

1ドンとか使い道あるのかな。。。

 

国境越えは、まるで入場券を買ってテーマパークに

入るくらい簡単だった。入国カードを記入する場所で、

白人の老夫婦をみかけた。同じバスに乗っていた夫婦だ、

と検討をつけて話しかけてみた。

二人はフランスからきているらしく、中国で1か月、

ベトナムで1か月、そして周辺を1か月と合計3カ月

旅行するらしい。

老夫婦になっても、大陸を渡って夫婦睦まじく旅行

なんて、うらやましい。僕にはきっと実現不可能だろう。

 

老婦人はベトナムではタクシーを使っちゃだめよ、

行きたいホテルとは違うホテルに連れていかれるから、

と言う。

なんて愉快な国だろうと、不安よりもおかしな

期待で胸がふくらんだ。

 

国境を越えて、バスはハノイという都市に向かった。

国境を越えても生えている木々は変わらないのだな、

と当たり前のことを考えていたら、

中国では目にすることがなかった、カラフルな

建物が視界に飛び込んでくる。

陸で国境を越えたことがない僕は、その変化に

驚かされた。

赤茶色の線路の上を、2人の子供が笑いながら

歩いている。のどかな風景だった。

次々と現れるカラフルな建物に目をやっていたが、

どうやら正面は薄い緑や黄色で、新築のように

色鮮やかに塗装されているが、側面はコンクリートむき出し、

というところが多いようだ。

かと思いきや、側面もきれいに塗装している家も見られる。

お金に余裕があるところは全面塗装なのだろうか。。。

 

風景を楽しんでいると、バスが停まる。

英語の話せる中国人に聞くと、20分くらい休憩らしく、

皆ヌードルやライス系の色々なランチを食べている。

 

細長い、チマキのように笹に包まれたものが、

20本くらいセットになって売っている。

僕が興味を示しているのを見てとったのか、

中学生くらいにしか見えない店員が、

注文もしていないのに勝手に皿にのせ、

別の小皿にオレンジ色のソースをつける。

 

ハウマッチ?と聞くと、

Twenty five (25)、と店員が笑顔でこたえる。

25。。。?

25ドンじゃないよな。それだと1円にも満たないけど。。。

聞き間違いかと思い、紙に書いてもらうと、そこには

25000

と書いてあった。なるほど、ここでは下三桁は省略する

のだな、と妙に納得してしまう。

 

テーブルに着き、プラスチックの椅子に座って、

1本笹をむいてみる。

ところが、中身がなかなかでてこない。

これは、ひょっとして、サトウキビみたいに

ひたすら葉をかじる系じゃないだろうか。。。?

そんな、ウサギじゃないんだから勘弁してよ。。。

 

そんな疑念が頭をもたげだしたころ、

ようやく人差し指くらいの太さの細長い

クリーム色の物体が顔をだした。

f:id:jinsei-mikiri-hassya:20211006160922j:plain

過剰包装されたハムw

ソースをつけて食べると、ハムのようだった。

ライス系かと思いきや、ハム。

20本全部ハムは、さすがに犬でもないとキツイ。

とはいえ、辛いソースをつけて食べると、

案外おいしい。でも多い。そしてみんな同じ味。

(あたりまえか)

10,000ドンでコーヒーを頼み、煙草休憩をとりながら

なんとか完食した。

 

いよいよベトナムなのだ、と高揚感にも似た感情に

僕は包まれていた。昨日は疲れたからもう帰るか、

などと考えていた自分の変わりように自分ながら呆れる。

 

だが考えてみれば、中国は仕事とはいえ、上海から深セン

広州、東莞に至るまで、何度も訪問したことがあった。

当然ながら土地ごとに趣きはあったものの、

それほど変わり映えがしない景色も多かった気がする。

 

ところがどうだ、ベトナムはまるで飛行機で何時間も

飛んで、別の大地に降り立ったかのような違った

景色ではないか。

一番の違いは、カラフルな建物だった。

国境を超えるだけで、これほど街並みが変わるものか。

 

僕はまるで今日が旅の始まりのような、浮き立つ気持ちで

ベトナムの空気を吸った。