過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 35 ベトナム編《マイソン、そしてダナン》
翌日、ホテルに紹介されるがままに、
マイソン行きのツアーに参加した。
このツアーの現地ガイドが面白く、
彼がいうには、
自分は歌がうまく、街のコンペで
2人で争って2位だったとか、
帰りに乗るバスを間違えるな、
ワシントンDC行きのバスもあるから、
などとジョークを飛ばす。
ベトナムで饒舌なガイドは初めてだった
ので、新鮮だった。
マイソンは忘れ去られた古代遺跡、という
ネーミングがぴったりあいそうな、
歴史を感じさせる遺跡群だった。
ここを初めて発見した人間の驚きは、
想像を絶するものだったに違いない。
午後から、ダナン行きのバスに乗った。
結局ホイアン行きのバスで降りなかった
ダナンに、僕は行くことにしたのだ。
バスが到着すると、蛍光灯の明かりに
吸い寄せられる羽虫のように、バイタクの
群れが待ち構えている。
はっきりいって少し恐怖を感じるほどだ。
20くらいの俳優のような整った顔立ちの
バイタクが、話しかけてくる。
Where do you go? (どこにいくんだ?)
I don't know (わからない)
How long will you stay ? (どれくらい滞在するんだ)
I don't know (わからない)
もはやベトナム定番となったバイタク
とのやり取りに、少々辟易しながら、
僕は歩く。
彼らはとにかくしつこい。
しつこくないと、客をとれないし、
生活できないのも
わからなくはないのだが。。。
どうにかならないものか。
落ち着いて散歩もできないほどだ。
結局、最初に話しかけられたそのバイタク
が、ホテルのあるとおりに連れてくと
のことなので、そこに行ってみる。
降ろしてもらった先のホテルは、12
ドルだった。安いが、ホイアンほどではない。
もう少し探してみることにして、
ホテルを出ると、先ほどのバイタクが
僕を待ち構えていたかのように、
まだホテルの前にいた。
Not OK ? I will take you other
(他のホテル紹介するよ)
いや、いいよ、といって歩き出すと、
その方向には何もない、とさっきの
バイタクがいう。
そうなのか。。。?
さっぱりわからない。
はっきりいって毎日歩き詰めなうえに、
バックパックは無茶苦茶重い。
僕が迷っていると、さっきのバイタクが、
さっき余分にもらったから、フリーで
違うホテルに連れてくよ、といってくる。
ベトナム人は、正直ガメツイと思っていたが、
そうでもないらしい。
というか、こいつは、かなりいいやつだ。
結局彼にいろいろなホテルに連れてってもらい、
結局余分にチップを払いながら、
10ドルのホテルに落ち着いた。
思えば、このヒトのよいバイタクに出会った
ことが、心の隙を生んでしまう結果に、
つながってしまったのかもしれない。