過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 15 ベトナム編《路上屋台でフォーを食べる》
迷路のような道をいったりきたりしながら、
なんとか自分のホテルにたどり着いた。
途中、試しに何軒かの宿に宿泊費を聞いてみたら、
1泊15~35ドルだった。
自分の宿は10ドルだから、ついていたらしい。
僕は延泊することをフロントに告げ、ついでに
このあたりでいいレストランはないか、と聞いてみた。
フロントのおばちゃんが、ひとのよさそうな笑みを
にっこりと浮かべ、
ヌードルは好きか、と聞いてくる。
ヌードル。。。フォーか。そういえば
ベトナムといえばフォーだな。
イエス、といって
場所を聞くと、ホテルを出て、右に行けばすぐ
あるよ、といわれた。
そんなとこあったかな、と思いながらホテルを出た僕は、
いわれた方向に向かう。
ヌードル。。。ヌードル。。。
もしや。。。
これ??
プラスチックのテーブルや椅子に、見慣れない野菜やら
、鳥の足?やら、卵やらツミレらしきものやらが雑多に
並べられ、寸胴の前に年配のおばさんが鎮座されておられる。
「レストラン」って単語は、
いやに広義なんだな。。。
いやいや、目を覚ませ、自分。
さすがにこれは。。。
こういった路上屋台は、中国では避けてきた。
いや、だけど、
逆にこういうものを食べるのが、旅なんじゃないか、
と僕は考える。
外国人向けのレストランを渡り歩くのが、旅といえるのか?
どうしようか思い悩む僕に、寸胴前のおばさんが手招きをした。
こういう時の客をみつける嗅覚は、半端ない。
ストライカーなら、点取り屋だ。
とりあえず、ハウマッチ、と聞いてみると、
40、といって寸胴の主(おばさん)は皿にスープをいれだした。
どうやらこの国では、値段を聞いた時点で交渉が成立する
らしい、と僕は苦笑した。
白いヌードル(たぶんフォーなんだろう)に野菜とチャーシュー
(のようなもの)、つみれ(のようなもの)が入った皿を
渡され、テーブル(のようなもの)についた。
テーブルには、薬味なのだろう、小さいカボスと刻み唐辛子が
小皿にのっていて、赤い味噌みたいなものもあった。
恐る恐る、おっかなびっくりな勢いで
白い麺をすすると、マイルドな塩味で、びっくりする
くらいおいしい。そのままでもおいしいが、カボスや
唐辛子を入れると、味が変化して飽きがこない。
僕は、フォーを食べながら、こぎれいなレストランでしか
食事ができなかった自分から解放され、ひとつ自由に
なった気分を味わっていた。
いや、それにしても、路上の食事が
こんなにおいしいとは。。。
モノは試し、とはよくいったものだ。
気分をよくした僕は、腹ごなしに夜道を歩いた。
ほとんど人は歩いていないが、バイクだけは
相変わらずひっきりなしだ。
正直、夜道は恐怖を感じなくもなかったが、
路上を掃除しているひとがいるくらいだから
きっと大丈夫に違いない、と根拠のない理由で
自分を納得させる。
HOTAYという名の湖の周辺を歩いた。
ないか、と心配になるほど熱い抱擁をしていた。