人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 95 カンボジア編《シェリムアップ アンコールワットおおまわりー②)

 

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アンコールワットの遺跡群を

回っている途中、見るからに貧しい、

モノ売りの少女とこんなやりとりが

あった。

 

テイクフォト1ドル、

と少女が僕に話しかける。

 

どうやら遺跡をバックに写真を撮る

から、お金をくれ、ということらしい。

 

僕はすげなく断った。

1ドルとはいえ、物乞いは無限にいる。

申し訳ないと思いつつも、いちいち

お金をあげていられない。

 

少女はどうやら僕がお金を払う気が

ないと悟ったのか、今度はコインを

くれ、という。

 

僕はもっていた日本円の五円玉

をあげた。

穴のある硬貨は世界的にも珍しいため、

日本から10枚くらいもってきていた。

 

少女は5円を受け取りつつも、

今度はアメをくれ、ペンをくれ、

1ドルくれ、と僕の後をついてくる。

 

ソーリーと繰り返しながら、僕は

振り切った。

 

再び待たせていたバイタクに乗りながら、

やはり1ドルくらいあげるべきだった

かなと僕は思う。

いや、それはやはり違うのではないか?

ただ金をせびるより、せめて何かを

売って金を得たほうが、少女のため

ではないだろうか。

 

小学生にも満たないだろう年齢で

稼ぎをえる必要があること自体が

恵まれているとはとてもいえないが、

それがカンボジアの現実なのだ。

同情を買ってもらうことをおぼえたら、

怠惰になるかもしれない。。。

 

だが、それも何の知識もない、

背景もわからない僕の考えであって、

彼女は売るものすら持たせて

もらえないほど、貧しいのかもしれない。

 

だいたい、3~4才の年齢で、

何が自分のためになるかだなんて、

わかるわけがないじゃないか。。。

 

バイクは走る。

空はつきぬけるように青い。

まるで、空に向かって走っているかの

ようだ。

このまま、空に向かって自分ごと

溶けていって

しまいそうなくらい、

空は青かった。

 

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 94 カンボジア編《シェリムアップ アンコールワットおおまわりー➀)

 

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アンコールワットでモノを売る少女


その日は、アンコールワットの大回り

らしい(適当すぎるw)コースに行く

ことにした。

 

アンコールワット遺跡はとてつもなく

広大なので、実際は1日ではとても

回れない。

そのため、色々な見学コースがある。

 

リンという前回にもアンコールワット

を連れてってくれたバイタクが、

しきりにもっとたくさん見にいこう、

と誘ってくる。

色々行って、さらに遠方ともなれば

稼ぎも当然大きくなるからだろう。

 

じゃあ大回りコースで15ドルで

どうだ、と聞くと、いやいや

20ドルだ、といってくる。

 

遺跡を5つ回るコースで10ドル、

6つ回るコースで20ドル。。。

 

 

 

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見切り発車 ただいま計算中。。。

 

なんか

計算

おかしくないか?

 

と思わずにはいられなかったが、

自分の金などなくなったほうが

いいんだ、とよくわからない理由で

自分を納得させ、20ドル支払った。

 

遺跡を回っていると、ボロを身に

まとった幼い少女が、絵葉書を

売ってくる。

 

ソーリーといって通り過ぎようとする

が、どこまでもついてくる。

 

イー

アー

サン

スー

(中国語の1、2、3、4)

 

と少女は僕に向かって話し続ける。

僕を中国人だと思っているらしい。

 

イー

アー

サン

スー

ワン、ツー

スリー、フォー

 

と少女は僕に向かって会話にもならない

言葉を話し続ける。

少女に笑顔はなく、少しでも

興味を持ってもらおうと覚えたのだろう、

言葉が痛々しい。

こういった光景を目にしすぎて、

自分が何を考え、どうすべきか、

どう思うべきか、混乱しそうになる。

 

分厚いガイドブックを売っている

5才くらいの少年もいた。

ハードカバーの、数千円くらいしそうな

立派な本だ。

流暢な英語で、このガイドブックは

アンコールワットの歴史を示していて、

今いる地点は。。。

などと僕に話し続ける。

大人顔負けの営業トークだな、

と僕は少年のすごさに素直に驚く。

 

 

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 93 カンボジア編《シェリムアップ 夜の出来事②)

 

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画像はイメージです

ホテルのフロントで宿泊者用のPC

を立ち上げ、ヤフーを見ると、

衝撃の光景が目に飛び込んでくる。

 

なんと、タイの空港が市民団体か何かに

占拠されている。

これでは

国境封鎖状態

ではないか。。。

 

この出来事に、僕は少なからぬ

衝撃をうけた。

それは、空港が占拠されたという

珍しい出来事でも、それに対する

恐怖のせいではない。

 

なぜかというと、タイミングの

せいだった。なにしろ、

僕はあさってには、

シェリムアップを後にし、

タイのバンコクに行くか、

ラオスに行こうか悩んでいたからだ。

 

この時点でもう3週間くらい東南アジア

を旅行していたから、正直疲れていた

せいもあり、ラオスはもういいかな、と

思っていたのだ。

 

だがシェリムアップの毎日が意外に楽しく、

このままタイに行って数日過ごし、

帰国していいのか、やはり疲れていても

ラオスに行くべきではないか、

と自問自答し始めていたのだ。

 

行き先を決めるべき直前のこの

出来事に、僕は運命めいたものすら

感じていた。

 

そうだ、やはり、

ラオスには

いくべきなのだ。。。

 

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 92 カンボジア編《シェリムアップ 夜の出来事➀》

 

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フジタさんと別れ、ホテルに戻り、

フロント近くのソファーでビールを

飲んでいると、

ホテルのドアが開き、顔見知りの

バイタクが、今日の仕事を終えたのか

僕の近くのソファーにどかっと座る。

 

彼は、僕の缶ビールを見て、

僕の金でビールを飲もう、

(ここ重要 笑)と誘ってきた。

 

1日数ドルしか稼げないだろう彼には、

ビールは贅沢すぎるのだろう。

それにしても、二晩連続で、ビールを

奢られようとは、なかなかの漢だ。

 

もうすでに1缶飲み終わっていた

ところなので、いったん断ったが、

彼も1日中砂埃の中を運転して、

疲れを癒したいのだろう、と

思い、考え直して、

おごってやる、というと、

嬉しそうに2缶も一気に開ける。

 

おいおい、

2缶もかよw

調子のいい奴。。。

 

しばらくバイタクと談笑して、

僕は部屋に戻る。

 

普段はあまりホテルでテレビはみない

のだが、なんとはなしにテレビの

スイッチをつけた。

 

ニュースでは、タイの中継をやっていた。

 

プロテスタントがどうのこうの、

と緊迫したような状況が伝わってくる。

 

えっ。。。

まさか。。。

何言ってんだよ。。。

 

僕は部屋を出て、急いで1階のフロントに

戻り、宿泊者用に置いてあるパソコンを

立ち上げた。

 

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 91 カンボジア編《シェリムアップ フジタさんと夕食を食べる》

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ホテルの近くのいかにも地元、と

いった感じのレストランで、

フジタさんと夕食をとった。

 

僕は2ドルのマッシュルームと

チキンの炒め物で、

フジタさんは1ドル(100円)

で小魚とごはん、野菜を選んだ。

 

衛生管理にクエスチョンが八つくらい

つきそうな、こんな食堂もどきの

場所で、もくもくと何の抵抗も

なく食べているフジタさんは、なかなか

の猛者というか、おとなしそうな感じ

なのに、ちょっと(素敵な意味で)

変わっている。

 

ちなみに僕を見送ってくれた友達の

広島の女の子は、外ではトイレに

いきたがらないくらい潔癖だから、

同じ女の子でも大きな違いだ。

 

野菜をもしゃもしゃ食べている

フジタさんの、

ビューラーで整えたまつ毛の奥に、

奥二重の瞳がのぞいている。

 

かわいいな、と僕は素直に思う。

だが、僕に気があるような感じは

まったくないから、何もしようもない。

 

フジタさんが夕食代を払おうとしたとき、

オレがさっきまとめて払ったから

いいよ、というと、

フジタさんは、

すみません、ごちそうになって、

と律儀に頭を下げる。

 

1ドルおごっただけで感謝されると

逆に悲しくなるよ、と僕がいうと、

フジタさんは声をあげて笑った。

 

ホテルの前までいって、フジタさんと

サヨナラをして、僕は自分のホテルに

向かって歩き出した。

 

やっぱりメアドくらい聞いとくべき

だったかな、と思いながら。。。

 

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 90 カンボジア編《シェリムアップ 通訳兼ドライバーとの別れ 》

 

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NGO見学で知り合ったフジタさんの

ホテルに到着した。

 

夕食を食べるから、もう帰っていいよ、

と通訳兼ドライバーさんに20ドルを

わたし、5ドルお釣りをちょうだい、

というと、彼はポケットをまさぐり、

お釣りがない、という。

 

じゃあそのうち返してくれればいいや、

と僕はいった。

むろん、彼とはもう会うことがあるか

どうかもわからないのだが。

 

彼は明日、孤児院に行って日本語を

教えてくるという。

 

授業で使うらしい紙をみせてくれた。

 

そのはカバンです、と子供が書いた

回答に、正解の〇がしてある。

 

その語学力で

教えられるのか。。。?

 

しかし、見上げた男だ。砂埃の中、

1日5時間も運転したからか、

目が充血して真っ赤だ。

 

いつか日本で働くかもしれない、と

彼はいう。

友人に農業をしている人がいるらしい。

 

そういえばどこかで、農業は人手が

足りないから、外国人労働者

うけいれているところもあると聞いた

ことがある。

 

余計なお世話ではあるが、

日本は夢の国ではないかもしれないよ、

とだけいっておいた。

期待がふくらみすぎると、いいことは

ないと思ったからだ。

 

フジタさんと夕食をとることになり、

レストランに向かって歩きながら僕は

不意に思った。

 

よく考えたら、今日あちこちに運転して

もらったりして、その都度、ドライバーの

彼にお金を支払っているのだから、

釣りが全くないはずはない。

 

とすると、お釣りがない、というのは

彼のジェスチャーだったのだろうか、

と僕は暗い気持ちになった。

 

もちろん、彼はヤマトという僕の宿泊先

の隣のホテルに出入りしているのだから、

そこに行けばたぶん返してもらえるだろう。

 

だが、5ドルというお金の問題ではなく、

孤児院でボランティアをしている彼が、

そこまでして5ドルを。。。

と思わずにはいられない。

 

だがそれも、悲しいことではあるが

生活の知恵のようなものかもしれない。

貧しい生活の中、身に着いてしまった

習性なのかもしれない。

 

確かに、僕にはたった5ドルだけれど、

工場の工員は1日1ドルが日給だから、

カンボジアではそれなりの金額ではある。

 

僕が持っているより、彼が持っている方が

5ドルも有効活用されるだろう、

 

そうは思うのだが、やはりどこか

釈然としない気持ちが残った。

 

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 89 カンボジア編《シェリムアップ 夕日》

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ベンメリアを観光した後、NGOに戻り、

NGOに関する見学を続けていたフジタさん

をピックアップして、僕はホテルに戻る

こととなった。

 

帰り道、夕日が雲の切れ間から覗いている

のを車窓から眺めながら、フジタさんが

いった。

 

なんでインドネシアとかカンボジアって、

夕日がきれいなんでしょうね

 

夕日のきれいさなんてどこでも恐らく

一緒と思うが、やはりのどかな景色に

溶け込む夕日は、視覚的に映えるのかも

しれない。

 

あるいは、海外いる自分というどこか

ノスタルジックな想いが、いつも見ている

はずの夕日を違ったもののように

見せているのだろうか。

 

日本にはない景色、

日本にはない日常、

日本にはいない自分。。。

 

確かに、夕日は雄大で、日本でみるのとは

どこか違う、美しさがあった。

 

《出張続きで死にかけているので今日はここまで。。。》