人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 60 ベトナム編《カントーへ まさかの電話がくる》

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見切り発車 名も知らぬバス停で徘徊するの巻

 

見知らぬバス停で、カントー行きの

バスを探すが、見当が全くつかない。

(というかそもそもそのバスが

本当にここにあるのかすら自信がない)

 

とりあえず、でかいキャリーケースを

ひっぱる女性についていくが、

どうやら乗り継ぐつもりはないらしく、

うまくいかない。

 

チケットに4桁の数字が記載されている。

これが車両番号なのだろうか?

 

チケットを片手に、カントーカントー

と繰り返しながら歩き回る。

日本なら、職務質問確実の不審者だ。

 

聞いて回っていると、

ある男に、ここで待て、といわれるが、

それがあっているのかどうかわからない。

時間も11時を回っている。

 

まさか、1日1便しかないと聞いていた

バスが、もういってしまっているのでは

なかろうか。。。

 

とあるバスを降りてきたばかりの運転手に、

身振り手振りで聞いてみると、

一緒に僕のバスを探してくれる。

 

こういうときだからこそ、

人の優しさが身にしみる。

いやー本当にいいひとだ。。。

 

どうやらまだバスは来ていなかったらしく、

しばらくしてやってきたバスに、

あれに乗れ、といわれるがままに乗った。

 

どうやらこのバスであってるみたいだ。

僕は安堵して、バスでうたた寝した。

 

しばらくのっていると、トイレ休憩で

バスが停まる。

トイレから戻ってくると、

バスの運転手が、お前に電話だ、と僕に携帯を

渡して言う。

 

え、で、電話っすか?!

一瞬、このおじさんは何をいっているのだ

と思う。

だれだろう、まったく心当たりがない。

 

というか、自分自身すらここがどこだか

わからないような場所で、僕がここに

いるとわかっている人物なんて、

この世に存在するのか??

映画のワンシーンじゃあるまいし。。。

 

間違いに違いないと思いつつ電話に

出ると、今日チェックアウトしたホテルの

フロントの女の子だった。

 

今朝少し話をしたが、笑顔が似合うとても

(というかかなり)かわいい子だ。

 

彼女は、僕がガイドブックを忘れたことに

たいして、わざわざ電話してくれた

みたいだった。

 

さすがにガイドブックくらいで

またサイゴンに戻るわけにもいかず、

あきらめるというと、

もしサイゴンに戻ることがあれば、

返すからいってくれ、と優しく

いってくれた。

 

ありがとう、といって電話をきった。

見ず知らずの僕に、なんでそこまで

親切にしてくれるのか。。。

と思わず心が揺れる。

 

考えてみれば、バスチケットを売った

だけの僕に連絡がつく番号を探すだけでも

一苦労だったに違いない。

というか、よく見つかったもんだ。。。

 

僕がホテルの人間なら、ガイドブックを

忘れ物箱かなにかに置いておくくらいしか

できないだろう。

なにしろ、連絡先すらわからないのだから。

 

旅をしていると、人の優しさがいつも

以上に身にしみる。

 

特に、身に余る親切をうけてしまうと、

思わず涙がでてしまいそうになるくらいだ。

 

ホーチンミンは、シクロにしろ

バイタクにしろ、ろくな目にあわなかったが、

最後にいい人に会えてよかったなあ、

と車窓から流れる景色を眺めながら

僕は考えていた。