人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 115 ラオス編 《ワットプーで僕がみたもの》

 

 

ワットプーは、一本の道を挟んで、

二つの建築物がある、

屋根のないレンガ造りの遺跡だった。

 

朽ち果てた遺跡、といったフレーズが

ぴったりあてはまるな、と僕は思った。

 

僕は、半ば崩れたレンガを足場にして、

遺跡の片側の壁にのぼり、中を上から

覗いた。

 

太陽を背にして、雑草が青々と茂った

四角い空間に、僕の人影がうつる。

 

千年も前に、ここに何千人もの人が

訪れ、祈りを捧げたのだ。。。

 

そう思うと、思わず身震いを感じるよう

な何かが、僕の体を突き抜けていくのを

感じた。

 

二つの遺跡の真ん中を突き抜けるように

はしる道の先に、ケシの木だろうか、

花を咲かせた樹木がお互いを支えあう

ように、寄り添うように立っている。

 

さらに先へと進む階段は、上に向かって

急な勾配となっていた。

 

わけもなく、天国への階段、といった

フレーズが頭に浮かぶ。

 

あるいは、ここは、この地に住む多くの

人にとっての、天国への階段であったの

かもしれない。

 

階段をのぼりきると、また別の遺跡があり、

仏像が中央に鎮座していた。

 

だが、僕が感動したのは、多くの人が祈りを

捧げてきたであろう仏像ではなく、

階段をのぼりきった後に振り返ったときに

目に飛び込んできた景色だった。

 

視線の先には、朽ち果てた遺跡、そして

その中央をシルクロードのように道が

まっすぐ突き抜けている。

奥には湖が、その碧さ、静謐さをたたえ、

どこか暖かみを感じさせる。

 

遠目には、今まで自転車で通ってきた

道、そして街並みが、メコン川が見える。

 

太陽の光が、遺跡の半分を覆いかぶさって

いる。

あと、1時間もすれば沈んでしまう太陽だ。

 

アンコールワットで充分に遺跡はみてきた

つもりだったし、こんな片田舎の遺跡など、

行かなくてもいいかなくらいの気持ちで

立ち寄ったこのワットプーに、僕は

いいようのない感動をおぼえていた。

 

僕とホセは、腰をおろし、

その光景にのまれながら、

ただぼんやりと日が傾いていくのを、

みつめていた。。。