人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 106 ラオス編 《Dondetでホセと旅をする》

 

 

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メコン川とぼく

僕らを乗せたバスは、舗装されていない道

にはいり、やがて停車した。

 

ここがDonget か。。。

ほんとになんもないな。。。

しかもなんもないレベルが、日本と比べる

と桁違い。

 

そう思っていると、舟に乗れ、と声を

かけられた。

なるほど、Dongetは島なのだ、

ときづく。

 

舟(どちらかというとボート)で

10分くらい移動し、陸に降りた。

 

川沿いに、バンガローが

立ち並んでいる。

なかなか面白い風景だ。

 

スペイン人で最後までラオス入国代

2ドルで孤軍奮闘していたスペイン人

のホセとホテル探しをしてみる。

 

1軒目が4ドルで、僕は正直即決君でも

よかったが、ホセがもっと安いところが

あるはずだ、と迷いもせず再び歩き出す。

 

400円でも300円でも

似たようなもんな気もするが、

入国したばかりの国ということも

あって、案外ホテル探しも楽しく

もあり、僕もホセについていく。

 

竹を編んで作ったバンガローがあり、

そこが2ドル50セント。

 

 

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今日の宿はここに決まり?!

 

 

 

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なんと!今ならハンモック付きで1泊250円!

二人ともそこにすることにして部屋を

借りた。

 

電気は自家発電らしく、

夜七時に消えるらしい。

中学生の修学旅行より消灯が早いw

部屋にライトはなく、共有スペースに

あるだけだ。

 

荷物を置いて、ホセと二人で

近場のレストランに行く。

 

どの料金も2、3ドルはして、観光客価格と

考えても宿と比べたら高すぎる。

コーヒーとサンドイッチを頼んだら、

宿代とほとんど同額になってしまう。

 

 

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日本でも300円くらいで食えないか?!

 

ホセは日本から旅をスタートして

5カ月になる、という。

東京、上野、京都、奈良、九州、長崎

と回ったらしい。

旅はあと1年くらい続ける予定だという。

 

ホセは35歳で、グラフィックデザイナー

らしい。

 

君はあとどれくらい旅をするんだ、

と今度はホセから逆に質問された。

半年?1年?と彼は聞く。

 

1年、といいたいが、自分には

そんな勇気はない、と僕は正直に

答えた。

 

勇気がない、というのは

旅が長すぎる=離職期間が長くなる

という意味で、日本では離職期間が

長いと再就職が困難になるということだ。

 

僕が1カ月足らずで、しかも出発日に

中国に着いてからは飛行機は使わず、

中国、ベトナムカンボジアと早足で

旅を続けてきたのは、そういった

意味があったのだ。

 

具体的にどこで、いつ旅を辞めるか

わからない、という僕に、ホセは、

そういう旅が一番いいんだよ、

と優しくいってくれる。

 

ホセはベトナムで寺に5日間滞在し、

プノンペンの孤児院でも1週間いた

という。

 

僕は特異な経験をしているホセを

羨ましく思い、自分の旅は

これでいいのか、

と考えてしまう。

 

自分の影を追うように、早足で、旅を

していていいのだろうか。。。

 

飯を食べ終えると、早くも暗くなってきて、

僕らはバンガローに戻った。

 

メコン川が目の前の部屋のドアのところ

に、ハンモックがある。

 

僕とホセは、それぞれハンモックに

揺られた。

 

しばらくすると、宿のおばちゃんが、

小さなランタンを持ってきてくれる。

 

ホセが、

Maybe it's better

といって、部屋の近くの明かりを消し、

ランタンに火をつける。

 

不意に見上げると、

僕は思わず息をのんだ。

 

無数の星空が夜空を

埋め尽くしていたのだ。

 

明かりを暗くしたから見えたのだ。

北斗七星もある。

 

ハンモックに揺られながら、ビールを

飲み、しばしメコン川と星空を眺める。

 

誰もがうらやむような時間を堪能する

自分と、ここでこんな自堕落をしていて

いいのか、という自分が頭の中で

交錯する。

 

ハンモックに揺られながら満足そうな

笑みを浮かべて瞳を閉じているホセを

横目でみながら、

ここで至福の時に身をゆだねられない

自分は、旅が下手なのかもしれないな、

と僕は思う。

 

ビール瓶を片手にタバコを吸いながら、

無数の星空の下で、

僕はいつのまにか

眠りに落ちていった。