人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 45 ベトナム編《ダナン ぼったくりバーにひっかかる⑦》

 

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見切り発車 ウエストポーチの中身について想いをはせるの巻


痩せた男が、僕のウエストポーチに

粘着質の視線を向ける。

 

金の匂いをかぎ取っているのなら、

それは正解だ。

 

エストポーチには、カジノで取り返した

2500万ドン(13万円くらい)の札束

が入っている。

 

既に財布から2万円を抜かれているが、

最悪取っ組み合いになろうとも、

これだけは死守するつもりだった。

 

15万円はビール1杯の代償としては、

あまりに高すぎる。

 

だが、僕を囲む3人の親玉であろう

ホクロ髭を生やした小太りの男は、

痩せた男の僕への追及に追撃せず、

Is that all? (これで全部か?)と聞いた。

 

As I said, this is all my money.

(いったとおり、これで全部だ)

と僕は返し、こう続けた。

Look, If you let me go now, I will not

go to police, but if you go further, 

I will.

(おい、今俺を開放するなら、警察には

行かないが、もしこれ以上やるなら、

警察に行く)

 

そう言った後に、これでは、自分は

もっと金を持ってるぞ、

といっているようなものかもしれない、

と僕は思い、いやな汗が背筋を伝うのを

感じていた。

 

だが、これ以上やられたら警察に行こうと

思ったのは本気だった。

もちろん、行ってどうにかなるとは

思っていなかった。そもそも、警察が

英語を話せるのかもわからないし、

話せたとしてもそもそもベトナム

警察がどこまでとりあってくれるか、

ゴロツキのぼったくりバーごときに、

まともに動いてくれるとは思えない。

 

まあそもそも、日本でさえ、

ぼったくりバーに騙されたとして、

それくらいで警察が動いてくれるのかすら

もわからないが。。。

 

もっといえば、僕は自分が今どこにいるかも

わからないし、今は夜だ。

警察を連れて戻ってくることなど、不可能に

近い気がする。

 

だが、何もせず泣き寝入りはしたくなかったし、

自分への言い訳も兼ねているかもしれないが、

何もせずに諦めるには、15万円は大きすぎた。

 

だが、警察に行く云々の前に、

もっと大きな問題がある。

 

警察に行く前に、

生きて出られるかどうか、

という差し迫った問題が。。。

 

それが考えすぎなのか、

確かに憂慮すべき問題なのかは、

この時の僕はわからずにいた。

 

 

《続く》