人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 25 ベトナム編《フエ カジノでルーレットに溺れる ➀》

 

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見切り発車、ギャンブル中毒症が再発するの巻(画像はイメージです)


フロントの奥にあるエレベーターで

2階に行くと、こじんまりとした

カジノ場があった。

 

高層ビルのような豪華五つ星ホテル内の

カジノというには、拍子抜けしてしまう

くらいの規模だ。

 

スロットマシーンが20台くらいで、

バカラブラックジャック、ルーレットが

それぞれ1台づつある。

ディーラーはおらず、すべて電子化されて

いた。日本にあるようなゲームと違うのは、

現金が賭けれること以外ないといえよう。

 

僕は迷いもせずルーレットの席に腰かけた。

中央で0から32までの数字を配した、

ルーレット盤がゆっくりと誘うように

回っている。

 

ルーレットはアメリカン、ヨーロピアン、

フレンチとあるが、ここにあるのは

0はあるが00はないヨーロピア

のようだ。

 

 

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電子ルーレットはだいたいこんな感じです(画像はイメージ)

ルーレットは、僕がラスベガスで

3,000ドルを失い、

徹夜で3,300ドルを戻した因縁の

ギャンブルだ。

(もちろん、他のカジノでは、ほぼ

こてんぱんにやられているといっていい)

 

僕が仕事で知り合ったカジノ好きの

外国人は大概ブラックジャックを好む。

彼らにとって数字を当てるだけの

ルーレットは、戦略も知識も必要のない

面白みのないものにうつるらしい。

 

だが、僕はルーレットが好きだ。

数字の羅列(それまでに何番のポケット

に入ったかを見る過去のデータ)

をみながら、次に何がくるのか、

当てるのが面白い。

赤が10回続くこともあれば、

赤黒交互にずっと続くこともある。

 

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赤か黒に賭けて当たれば2倍、数字に当たれば35倍(36倍もあるかな?)。0なら没収。(もちろん0に賭けることもできる)偶数か奇数かにも賭けることができます

 

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ディーラーのいるカジノであれば、こういう感じでチップを置いて賭けていきます。
28と31の間にチップを置けば、28と31に半分づつ賭けていることになります。

 

ついているときは、それこそ神がかった

かのように、赤と黒、どちらに賭けても

面白いように当たるが、外れるときも

同様に、どっちに賭けても確率は約

1/2のはずなのに、何回も何回も

やっても全く当たらないこともある。

運が向いているときは何もかもうまく

いくのは、人生と同じだ。

(そして、そのあとえてして転落

していくのも。。。)

 

黒服を着た女性従業員に20ドルを渡すと

僕の前の画面に20ドルと表示される。

現金を投入する場所はない。

ちまちまと1ドルづつ赤か黒に賭けようと

したが、うまくいかない。

 

不思議に思って黒服の従業員に聞くと、

ミニマム、つまり最低賭金は15ドル

らしい。

15ドル。。。1500円。

けっこうするな、と思う。

やっぱりそこは、高級ホテルにある

カジノ、ということか。

マカオのウインという高級カジノに

行ったときは100ドルだったから、

まだマシといえばマシか。。。

 

赤に20ドル賭けると、盤上に

白球が滑り出し、盤上を踊るように

高速で駆け巡った。

18。。。

赤だ。あっさりと倍になった。

気をよくしたが、そのあとは連敗し、

あっさりと、もともとあった

20ドルは消えてなくなった。

 

僕は嫌な予感と熱に浮かされたような、

不思議な、ギャンブル中毒者特有の

感情が、混ざり合って自分を占有して

いくのを感じながら、ポケットの財布に

手を伸ばしていた。

 

財布にあった現金は、

50ドル、100ドルとあっという間に

消えていった。

 

トラベラーズチェックは使えるか、と

黒服に聞く。だが、よく考えればパスポート

を持参してきてないのに使えるはずがない。

 

僕は財布の中のクレジットカードに手を

伸ばす。硬質のプラスチックの手触りが、

触れてはいけないものに触れたような、

不吉な感触を僕に与える。

 

だが、ためらったのは、

ほんの、

そう、

ほんの一瞬だった。