人生見切り発車

永遠にみつからない自分探しの旅(仮)

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 62 ベトナム編《カントー 8時間ボートに乗ってみる➀》

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ボートは続くよ どこまでも

 

翌朝6時少し前に、僕はホテルのフロントに

行った。

昨夜、ホテルを紹介してくれたベトナム人

おばちゃんに、ボートのツアーはどうだ、

と聞かれ、

6:00~14:00なら35ドル、

6:00~11:00なら24ドル、

といわれたので、35ドルの方を選んだ。

ベトナムにしては決して安い金額では

なかったが

(なにしろハロン湾一泊ツアーも確か

35ドルくらいだったからだ)

せっかくここまできたのだから、

フルコースの8時間ツアーで行くことにした。

 

6時ちょうどに、若い女性がフロントに来た。

どうやら彼女がガイドらしい。

案内されるがままにボートに向かう。

 

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今日の運転手兼ガイドの皆さんです。拍手!

ボートは底に水も溜まっているし、

びっくりするくらいチャチだった。

 

がんばればノコギリと釘さえあれば

僕でも作れるんじゃないか。。。?

というレベル。

 

ボートにはバイクのエンジンのようなものがついており、

そこから棒のようなものが

伸びており、その先っぽにスクリューが

ついている、いたってシンプルなつくりだ。

 

 

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だいたいどのボートもこんな感じです

 

エンジンが鼓動し、船は動き出す。

歩くより少し早いくらいのボートが、

肥沃なメコン川をゆったりと動く。

 

 

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いざ!メコン川

 

8時間のツアーのわりには、見どころ

満載とはいいがたい。

どこがハイライトなのかも、わからない。

どちらかというと、ベトナム人

暮らしをみる社会科見学みたいな感じ。

 

だが、こののどかなツアーが、ベトナム

なのかもしれない。

 

何かをしていないと、

何かをみていないと落ち着かない僕は、

やはり日本人的なところがまだ

抜け切れていないのだろうか。

 

こういう、のどかさを楽しめるように

なれるように、ならなきゃいけないな。

 

メコン川の流れに身を任せるかのように

のんびりすすむボートの上で、

僕はそんなことを考えていた。

 

途中でマーケットがあった。

フローティングマーケットというらしい。

まるで水軍で戦にいくかのような、

ボートの大群が遠目に見える。

 

 

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視界の先にボートの大群が現れる

《いつものように続きます。。。》

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 61 ベトナム編《カントー到着》

 

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カントー周辺の住居

 

川沿いを僕を乗せたバスが走る。

渋滞している場所で、人々がモノを売ろうと

バスのドアを叩く。

 

オレンジ、バナナ、水、コーヒー、

ちまきのようなもの。。。

群がってくる物売りは、みな同様に痩せている。

 

ベトナム人は貧しくても、物乞いをせず

何かを売ろうとしているから好きだ、

ハロン湾で知り合ったフィリピン人が

言っていたことを思い出す。

 

フィリピンという貧しい国で生まれた

彼女だから言えるセリフなのかもしれない。

 

日本というぬるま湯で育ってきた僕には、

知ったような顔をして、そんなことは、

まだまだ言えない気がする。

 

バスの中で本を読んでいて、

不意に窓の外を見ると、おかしな風景だ。

 

あれ、バスが船に

乗っている。。。?

あらびっくり。

 

バスを降りると、やはり自分のバスを乗せた

船が川を渡っていた。

 

痩せた女性にベトナム語ではなしかけられる。

英語は話せるか、と聞くと、話せるようだ。

 

彼女いわく、バスの運転手は友達らしい。

友達。。。

(嫌な思い出フラッシュバック中。。。)

 

詐欺師がよく使う常套句だ。

もしや、お決まりの詐欺かな?かな?

 

半日も一緒に過ごして仲良くなった

(つもりでいた)バイタクにぼったくりバー

に連れてかれて以来、僕は出会ったばかり

の人をあまり信じられなくなっていた。

 

僕はカントーはどこだ、と聞くと、

彼女は、ここがカントーだという。

 

あれ、もうついてたんだ。。。

まったく、言葉が通じないと苦労するなあ。。。

 

地図をみせてきた。

対岸に着いたら、もうバスに乗る必要はない。

バス停の方がカントーの中心地に近いらしい。

 

ホテルを紹介するという。

OK、10ドル以下ならね、というと、

オーケーオーケーと気さくそうな

返事が返ってくる。

 

まあいいか、と僕は思う。

詐欺だったとしても、仕方がない。

 

そもそも、どこにいけば、誰に聞けば、

信頼できるのかが、僕には

わからないのだから。

 

結局、紹介された川沿いのホテルの

部屋を確認し、悪くなかったため

そのまま泊ることにした。

 



過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 60 ベトナム編《カントーへ まさかの電話がくる》

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見切り発車 名も知らぬバス停で徘徊するの巻

 

見知らぬバス停で、カントー行きの

バスを探すが、見当が全くつかない。

(というかそもそもそのバスが

本当にここにあるのかすら自信がない)

 

とりあえず、でかいキャリーケースを

ひっぱる女性についていくが、

どうやら乗り継ぐつもりはないらしく、

うまくいかない。

 

チケットに4桁の数字が記載されている。

これが車両番号なのだろうか?

 

チケットを片手に、カントーカントー

と繰り返しながら歩き回る。

日本なら、職務質問確実の不審者だ。

 

聞いて回っていると、

ある男に、ここで待て、といわれるが、

それがあっているのかどうかわからない。

時間も11時を回っている。

 

まさか、1日1便しかないと聞いていた

バスが、もういってしまっているのでは

なかろうか。。。

 

とあるバスを降りてきたばかりの運転手に、

身振り手振りで聞いてみると、

一緒に僕のバスを探してくれる。

 

こういうときだからこそ、

人の優しさが身にしみる。

いやー本当にいいひとだ。。。

 

どうやらまだバスは来ていなかったらしく、

しばらくしてやってきたバスに、

あれに乗れ、といわれるがままに乗った。

 

どうやらこのバスであってるみたいだ。

僕は安堵して、バスでうたた寝した。

 

しばらくのっていると、トイレ休憩で

バスが停まる。

トイレから戻ってくると、

バスの運転手が、お前に電話だ、と僕に携帯を

渡して言う。

 

え、で、電話っすか?!

一瞬、このおじさんは何をいっているのだ

と思う。

だれだろう、まったく心当たりがない。

 

というか、自分自身すらここがどこだか

わからないような場所で、僕がここに

いるとわかっている人物なんて、

この世に存在するのか??

映画のワンシーンじゃあるまいし。。。

 

間違いに違いないと思いつつ電話に

出ると、今日チェックアウトしたホテルの

フロントの女の子だった。

 

今朝少し話をしたが、笑顔が似合うとても

(というかかなり)かわいい子だ。

 

彼女は、僕がガイドブックを忘れたことに

たいして、わざわざ電話してくれた

みたいだった。

 

さすがにガイドブックくらいで

またサイゴンに戻るわけにもいかず、

あきらめるというと、

もしサイゴンに戻ることがあれば、

返すからいってくれ、と優しく

いってくれた。

 

ありがとう、といって電話をきった。

見ず知らずの僕に、なんでそこまで

親切にしてくれるのか。。。

と思わず心が揺れる。

 

考えてみれば、バスチケットを売った

だけの僕に連絡がつく番号を探すだけでも

一苦労だったに違いない。

というか、よく見つかったもんだ。。。

 

僕がホテルの人間なら、ガイドブックを

忘れ物箱かなにかに置いておくくらいしか

できないだろう。

なにしろ、連絡先すらわからないのだから。

 

旅をしていると、人の優しさがいつも

以上に身にしみる。

 

特に、身に余る親切をうけてしまうと、

思わず涙がでてしまいそうになるくらいだ。

 

ホーチンミンは、シクロにしろ

バイタクにしろ、ろくな目にあわなかったが、

最後にいい人に会えてよかったなあ、

と車窓から流れる景色を眺めながら

僕は考えていた。

 

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 59 ベトナム編《カントーへ やみくもに向かう》

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見切り発車 本格的に迷子になるの巻

 

カントー行きのバスは11時発だが、

バス停に行くために迎えをよこすから、

10時にホテルにフロントにくるように

いわれていた僕は、早朝の観光ラッシュ

(自分なりに)を終え、10時少し前に

ホテルに戻った。

 

迎えがきて、ホテルの男がこれにのれ、という。

 

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え、これ?

僕は思わず目をこすり、眼鏡を拭く。

バイタク?

ハイヤーじゃないの?!

(まあハイヤーはいいすぎか。。。)

 

と思わないでもなかったが

確認しなかった自分が悪いのかもしれず

仕方なく乗る。

 

だが、なかなかつかない。

行った道を戻ったり、迷子状態だ。

顔つきはプロのドライバーなのに。。。

(失礼でしたらすみません)

 

しばらくすると、ようやくバス会社のような

ところにつく。

 

カウンターでチケットを渡されるが、いかんせん

全く言葉が通じないときたものだ。

 

ガイドブックの地図を確認しようと思ったが、

ガイドブックがないことに気づく。

 

バッグをひっくり返してもない。

 

地球の歩き方東南アジア編の分厚い本を、

ベトナムのページを切ってガイドブック

なしの気ままな旅をきどっていたら、

ほんとのガイドブックなし人間に

なってしまった。

 

これでは、重い荷物をさらに重くしてまで、

なんのために持ってきたのかすら

わからない。

 

まいったなこりゃ、と僕はつぶやく。

ホテルに忘れてきたのかもしれないが、

今から戻って、もう一日サイゴン

過ごす気にもなれなかった。

 

だが、これでいいのかもしれない。

ガイドブックなしのあてどない旅は、

むしろ自分が望んできたことじゃなかったのか?

 

。。。だが、地雷がまだ埋まっているらしい

カンボジアに、ガイドブックなしで

行けるのだろうか。。。

とすぐに不安になる情緒不安定な

30手前男。

 

だが、ないものはないから、

あきらめるしかない。最悪、英語の

ガイドブックを買うしかない。

 

10時15分になると、市バスのようなバスがくる。

11時発と聞いていたカントー行きは、

まさかこれではないだろうな、

と思い、カウンターでチケットをみせると、

それに乗れ、といわれる。

 

カントーカントー

アホウドリのように連呼しながら、

いわれたとおりバスに乗る。

 

15人乗りくらいの中型バスで、

ベトナム人しかのっていない。

 

なるようになれ、と思い座席に座る。

バスは時折、街のバス停で何度か停車した。

こんなペースでカントーに行けるはずがない。。。

 

絶望的な気分になっていると、

11時少し前にさっきとは違うバスセンター

(のようなところ)に到着した。

 

乗客は皆降りるので、何が何だか

わからずも一緒に降りる。

だが、この先、どれに乗り継いでいいのかが

さっぱりわからない。

 

こんな乗り継ぎ多いなんて、聞いてない。。。

というか、

全くたどり着ける気がしない。

 

というか、今までの行程もあっていたのかすら

わからない。

 

というか、本当にこのバス乗り場から

カントー行きがでるならば、

最初のバイタクは

なんでここに直接

こなかった??

 

すでに、どこかからカントー行きバスは僕を

おいていってしまったのではないだろうか。。。

 

《いつものごとく続きます》

 

 

 

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 58 ベトナム編《ホーチンミン 》

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ホーチンミン周辺でみかけた 愉快なゴミ箱

 

 

シクロはもうコリゴリだったので、

流しタクシーならぬ流しバイタクを

つかまえて、地図と絵を見せて、ここを

知っているか、と聞くと、

YES!!

ウルトラマンクイズの猛者くらい

の勢いで即答がくる。

 

1万ドンといわれたが、さすがに百円以下は

安すぎだろうと思い、

2万ドンわたして、バイタクにのる。

ところが降ろされた場所であちこち歩くが、

どうやら目的地と全く関係ないところに

勝手に降ろされたらしいときづく。

 

勘弁しろよな、全く。。。

僕は、思わず苦笑する。

 

これくらいで本気でイライラしていたら、

東南アジアは旅できない、と

知ったかぶり風に考える。

 

なにしろ、全く右も左もわからない

土地だ。

ここだ!といわれたら

ああ、ここなのだ、と思うのは当たり前だった。

 

その後も違うバイタクに乗って、

名所を回る。そこそこ見ごたえはあるの

だろうけど、まあこんなものか、程度の

印象だった。

 

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すごいといえばすごい

 

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なかなかといえばなかなか

 

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こんなものかといえばこんなもん

旅を続けると、毎日景勝地、名所を

回っているわけだから、

感覚がマヒしてくるのかもしれないが。。。

 

ある気弱そうなバイタクは、

いくらだと聞くと、

長い間考えだしちゃう奴もいた。

 

値段を聞かれて長考しちゃうなんて、

大丈夫かいな?

3万ドンでどうか、というと、

それで納得したらしく、僕を後ろに

のっけてバイタクは走り出す。

 

後部座席から、僕はバイクにミラーが

ないことに気づいた。

そして、走行メーターは軽く8万キロを超えている。

嫌な予感しかしない。

 

嫌な予感ほどあたるもので、気弱そうなバイタクの

運転は凄まじく、赤信号なら歩道をつっきり、

対向車線もへったくれもあったものか、

俺がルールだ、と暴れん坊将軍並み。

 

運転しないときはすごい気弱そうだったのに、

ジキルとハイドか?

 

ひととおりの観光を終え、ホテルに

戻った僕はバイタクの人生について考える。

 

学歴もない、経験もない。

あるのは、バイク、そしておそらく

自分の帰りを待っている家族。。。

 

今日を食べるため、ただ毎日バイクに

乗り続けるしかない。

 

詐欺やダマシはよくないと思うが、

ある程度金額をふっかけるくらいで

なければ、まじめにやっていては

生きていけないのかもしれない。

 

とくに、都会のバイタクは競争が

激しいだろうから、生き血をすすう

くらいの勢いで働く必要があるのだろう。

 

自由気ままそうに見えるが、

それなりに苦労があるに違いない。

事故ったら保険にすら入ってないだろうし。。。

 

くわえていうならば、後部座席に乗って

いて事故っても、恐らくこちらも事故責任

ならぬ自己責任間違いない。

 

なにしろ僕は、ノー保険で旅している

わけだし。。。

 

 

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 57 ベトナム編《ホーチンミン  詐欺シクロにひっかかる》

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見切り発車 それは色々な詐欺に引っかかる男

 

 

翌朝は5時半に起床して、サイゴンの街を

歩いた。

 

サイゴンに到着した日にカジノで

泣き寝入りし、翌日に

このままサイゴンを離れるのは

さすがにもったいないと考え、

バスの時間までは街を歩こうと決めたのだ。

 

ここらへんは我ながら、なかなか

たくましい。

(むしろ反省を知らない男)

 

ベトナムの街は、どこでも交差点に

ストリート名がアルファベットで

書いてあるので、とても歩きやすい。

 

。。。のだが、ホーチンミンは、大都会のせいか

道がいりくんでいて、少々歩きづらい。

 

道を聞くつもり半分で、シクロ

(浅草の人力車のようなもの)に、この場所

を知っているか、と地図に記載されている

観光地をさすと、知っているという。

ハウマッチ、と聞くが、

オーケーオーケーとしかいわない。

 

5万ドン渡して、これでオーケーか

と聞いてみると、オーケーオーケー

というので、そのシクロに乗ることにした。

50mくらい行ったところで、

日本人か、ありがとう、こんにちわ、

とシクロの運ちゃんが片言の日本語で

話しかけてくる。

 

なかなか面白い奴だと笑っていると、

さっき払った5万ドンを返してきて、

later later (あとで、あとで)

といってくる。

What, how much?? 

(なんだと、結局いくらなんだ?)

と聞くと、

20万ドン

と無垢な笑顔で返してくる。

 

女性で例えるなら、ミンクのコートが

欲しいんだけど、というときに見せる

計算尽くしの顔だ。

 

馬鹿言うんじゃねえ5万ドン払うから

降ろせ、と僕がいうと、

オーケーオーケーと

壊れた玩具みたいに繰り返してくる。

 

全然オーケーじゃないだろ。。。

 

やってられんと思い、5万ドンを

渡して、無理やりシクロから飛び降りた。

 

ところが5万ドンをしっかり受け取った

くせに、降りた後も、すまん、俺が悪かったと

後を追いかけてくる。

 

そうか、わかったならいいんだ。

と崇高な教育者のような笑顔を見せて

再び乗るほど僕は人間ができている

わけではない。

 

たかだか50mも歩かないうちに

5万ドンをもらったのだから、

あっちからしてみれば儲けものだ。

だが、とにかく別れた恋人のように

しつこい。

(いや、自分の方がしつこかった

ことがの方が多いか。。。?)

 

あっさり5万ドンを出したところから、

金持ちと思われたのかもしれない。

 

よくいえば商売根性たくましいのだが、

正直つきあいきれない。

 

都会だから、余計にこういう輩が

多いのだろうか。。。

 

過去の見切り発車 海外放浪 1人旅 56 ベトナム編《ホーチンミン 都会の闇夜》

 

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見切り発車 同じ過ちを繰り返すの巻

 

 

カジノを数件はしごしたが、全く勝てずに

2000万ドンがホーチンミンの闇夜に消えた。

 

ルーレットで赤黒(確率約2倍で、当たると

賭け金が倍になる)で、当たるとさらに

ダブルチャンスで頭上からでかいサイコロが

二つ落ちてきて、半か丁か賭けるという、

アメリカ、マカオシンガポール、ドイツ、

イタリア、マルタ、イギリス、ベルギー。。。

と数えきれないくらいカジノを回った

世界を股にかけるギャンブル中毒の僕でも

腰を抜かすマシンに、うつつを抜かしすぎた。

(あほの典型。。。)

 

ことギャンブルに関しては、全く自制が

きかない。

(自制がきかないから放浪の旅に

でちゃったのかな。。。)

 

普通の人間ならば、数日前に

奇跡的に15万円負け近くからプラス

2万円まで戻しただけで奇跡なんだから、

そこで足を洗えばよかったのに、と

思うだろう。

 

うん、まあ、

負けた今ならそう思える。

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画像はイメージです

 

なにしろ、中毒者は負けたイメージではなく

勝ったイメージ、アドレナリンが

花びら大回転、

大放出した時のイメージだけが、強く

イメージに残るものなのだ。

 

ギャンブル中毒者がやめられないのは、

それが原因だ。

本人はトントンかちょっと負けている

くらいと体感で感じているドギャンブラーは

大抵、既にそこそこの財産をどぶに捨てている。

 

ほぼ手持ちの2000万ドンを使い切り、

自分自身への愛想がもうだいぶ

尽きかけた僕は、カジノを出て、

フロントでタクシーを呼んでもらった。

 

ホテルに帰る途中、ハンドルを握るタクシーの

運転手が僕に行った。

マッサージはどうだ?

 

またそれか。。。

僕は力なく息をついた。

 

多少状況は違えど、バイタクに

ぼったくりバーに送り込まれたのに、

行くわけがない。。。

 

いや、もうやけくそで、どんなところ

か行ってみようか、とすら思う。

どうせなら、おちるとこまで

おちてしまったほうがいいのかもしれない。

 

そこで、死ぬような悲惨な目にでも

合わなければ、自分は目が覚めない

ような人間なのかもしれない。。。

 

そうはいっても、ホテルのフロントが

何時まであいているかわからない、

と僕がタクシーの運転手に言うと、

24時間あいてるに決まってる、という。

 

本当にそうなのだろうか。。。

僕がタクシーから降りると、運転手は

ここで待っている、という。

運転手の目は、日に焼けたような、

どすぐろさを感じさせる赤い目をしていた。

 

ホテルに戻ると、やはりフロントは24時間

あいているらしいことがわかった。

 

とりあえず部屋に戻る。

ベッドの上に無造作に置かれた、自分の

バックパックを見て、僕は現実に戻る。

 

何をやっているんだ、オレは。。。

10万円くらいすったくらいで、

自暴自棄になって、やけくそか?

 

部屋においてある、長方形の大鏡

うつった自分が、僕を嘲笑っているかの

ように思えた。

 

僕がタクシーに戻ると、運転手は笑顔で、

さあ、乗れ、と後部座席のドアを開けた。

 

僕は、行かない、とこたえた。

赤い目の運転手が、驚いたような顔を見せる。

 

僕は、ホテルのフロントが閉まってしまう

から帰る、とウソをついて、2万ドン渡して

タクシーから離れた。

 

運転手は、僕を引き留めようと必死で、

その必死さがますます僕の行く気を

なくさせてくれた。

 

そもそも、律儀にタクシーまで戻ってくる

必要もなかったのだが、この男もひょっとしたら

僕を騙そうとしているのではないかもしれず、

ただのサービス業としての仕事をしている

のかもしれず、そうだったら悪いと思ったのだ。

 

ホテルまでの50mくらいを、違うポン引きの

ような男たちが僕を呼び止める。

 

帰る、帰るのだ、といって振り切った。

 

ホテルに着いた僕は、

明日はもう、違う街に行こう、と決め、

地図を見た。

 

南にCantno という地名がある。

何があるのか、どんな街なのかもわからなかった

が、とにかく先に進むのだ、と思いフロントに

バスはあるか、と聞いた。

 

バスはあるが、AM11時の1日1便しかない

とフロントの若い女性はいった。

 

僕はそれに乗ることにし、8ドルを払った。